newtitle

書評「清水町の歴史とくらし」   


shimizumachi17 赤湯温泉街の北に続く旧羽州街道に沿った村を今は「清水町」と呼んでいる。昭和30年代は約80戸の家々が街道に沿って並んでいた。地区内には曹洞宗の名刹東正寺、烏帽子山八幡宮、浪重稲荷神社があり、南陽市赤湯のふるさとと言える由緒ある地区である。
 平成22年3月に「清水町の歴史を語る会」(神尾伸一会長)が発足し、約40人の会員が自分で調べたことを例会で発表、これまで26回の例会の開催と、会報「清水町の歴史」の発行は40号を数える。同会が活動で集積した膨大な資料の中から厳選集約してできたのが本書である。
 第9章に分かれ、清水町に関わる歴史、教育、文化、農業、人々の暮らし、信仰、清水町の歴史を築いた人たちの紹介など、巻頭のカラー写真8ページ、本文150ページの地域文化史である。
 第1章「清水町のはじまり」では、清水町にあった「深山寺」の歴史が書かれている。明治3年の神仏分離令により、深山寺は廃寺となり、その住職は現在の烏帽子山八幡宮の神職となった経緯は誠に興味深い。また、白竜湖とその南側に広がる大谷地で見つかった押出遺跡の発掘の状況や発掘物について触れ、縄文時代の人々の生活を生き生きと伝えている。
 第2章「神仏の里・清水町」では、 まぼろしの寺・深山寺、東正寺、烏帽子山八幡宮、浪重稲荷神社の歴史や宝物を紹介している。とりわけ、東正寺の項では、伊達政宗が幼少の時に同寺で、虎哉和尚から教育を受けたという大河ドラマ「伊達政宗」のことを紹介しているほか、明和8年(1771)には、上杉鷹山の師細井平洲が赤湯を訪れた時に、ここで月見を行ったとの歴史もある。烏帽子山八幡宮の歴史も記されており、石造大鳥居の建立の経緯も詳説されている。
 本書を読むことで、現在の赤湯の歴史の原点を知ることができ、庶民目線で、地域を形作ってきた歴史を残していきたいという会員らの熱い思いがひしひしと伝わってくる充実した内容である。

編集・発行 清水町の歴史を語る会
発行日 平成28年12月23日
頒布価格 1000円(税込)
問い合わせ 清水町地区公民館内 佐藤庄一さん
                 電話 0238−43−4756

(2017年1月19日18:35配信)