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書評 「七つ尾」第34号


nanao34 公益財団法人七尾城址文化事業団(近江一芳理事長、石川県七尾市)が発刊する機関誌「七つ尾」第34号がこの2月に発行された。
 いま全国でお城ブームが起きているが、七尾城は昭和9年12月に国史跡指定となり、現在、日本百名城の一つとして数えられ、合わせて日本五大山城としての名声を博している。
 この七尾城を拠点としたのが、室町時代に能登の守護だった畠山氏で、11代、169年にわたって支配し、その後、天正5年(1577)の七尾城落城から明治政府による国有地払い下げまでの間は、加賀藩の保護策(無断立入り禁止)によって保存されてきた歴史的にも貴重な城である。
 七尾市での最近の話題として、地元の七尾東雲高校生が「国指定史跡七尾城跡の魅力を発信するプロジェクト」のフィールドワークを始めたそうだ。次代を担う高校生が、地元の歴史遺産を学び、情報発信することで、地域への愛着、誇りにつながるまたとない機会である。七尾城を核に、これまで次々と打ち出されてきたプロジェクトは、七尾市の魅力をどんどん高め全国に発信している。その意味では、本誌も七尾市のPRの大きな柱となっていると言わざるを得ない。
 さて、本号には20編の寄稿が掲載されているが、いずれも七尾市の歴史、文化、食などの魅力を十二分に紹介するエッセンスに富んでいる。
 まず、「七尾と私」と題して畠山文化財団理事の畠山直子氏が寄稿している。同家の先祖は七尾城主の家柄で、祖父の畠山一清氏は、日本ではじめてポンプを製造する荏原製作所を創立した人物。祖父との思い出や七尾を訪問した際に感じた伝統の深さを述べている。
 平成28年11月に、七尾城址文化事業団が開催した講演会「能登畠山家とその家臣たち」では、講師の石川県教育委員会事務局文化財課主任主事、川名俊氏が能登畠山氏の成立から、戦国期の動乱の中での畠山氏と家臣のめまぐるしい動きや役割を紹介した。代表的家臣として、遊佐氏、温井氏、長氏ほかを取り上げ、能登の武士にとっては畠山家の権威と七尾城の求心力が大きかったと結論づけている。
 ほかに、上杉家家臣の末裔である利根川信氏が「能登守護畠山家のその後③」、橋元道彦氏が「『ななお・かしま食文化物語』を語る」、さらに畠山隆氏が七尾市に寄付した「七尾市所蔵の刀剣の紹介」は、見逃せない記事である。刀の基礎知識についても触れてあり、刀剣の魅力を学ぶ機会となる。斎藤秀夫氏は、「富樫政親と加賀一向一揆」を寄稿した。
 他に、写真コンテスト入賞作品、俳句、短歌、自然、スポーツ、生活民俗などを網羅し、カラー写真でのA4版誌面はとても読みやすく、七尾の歴史と文化、人々の暮らしなどを色濃く反映した誌面内容となっている。(成澤礼夫記)
発 行 (公財)七尾城址文化事業団
発行日  平成29年2月
定価   1,000円(税込)
問合せ  TEL 0767−53−6674 七つ尾編集委員会まで。
(2017年3月20日12:10配信)