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書評 「七つ尾」第35号


nanatuo35 公益財団法人七尾城址文化事業団(高絹子理事長、石川県七尾市)が発行する機関誌。
 今年は能登立国1300年を迎える能登国府とされる能登国分寺公園に、七尾博物館(仮称)が建設中で、その中に七尾城からの発掘品をはじめとして、七尾の歴史が体系的に、体感できる施設が整備されるとのこと。七尾の活性化が期待されている。

 「七つ尾」第35号では、まず巻頭に2016年にユネスコ世界文化遺産に登録された「青柏祭・でか山」に関する座談会の模様を伝える。大地主神社宮司や「府中町」、「前鍜冶町」、「魚町」の各でか山の総代、副総代らが出席し、その歴史と祭りの中身、総代らが子供の頃の思い出などについて語る。「青柏祭・でか山」は、七尾市で5月に開催される大地主(おおとこぬし)神社(山王神社)の例大祭で、能登地区最大のお祭り。青柏祭が始まったのは1300年前に山王神社が出来上がった時とされ、青い柏の葉の上にお供え物を備えることが祭の本義である。この青柏祭は、時の為政者と人々を繋ぐ都市の祭りで、青柏祭と名の付くのは、日本ではここ七尾市と他に京都の北野天満宮の青柏祭の2箇所のみである。
 でか山(山車)は、戦国時代の畠山氏が能登を治めた時代に奉納され、畠山氏没落後は前田利家が社殿と青柏祭などを再興し、前田家の祭りとなったという。「でか山」と呼ぶようになったのは200年前頃で、今は高さ12メートル、重さ20トンの日本一大きな「でか山」3台が街中を引き回される。サイズが巨大化したのは元禄時代あたりからで、琵琶湖のほとりにある日吉大社の山王祭の形式を取り入れている。平成30年は、能登立国1300年と大地主神社建立1300年の慶賀祭が行われ、能登には多くの観光客が訪れることだろう。

 次に、石川県立七尾東雲高等学校が取り組む「七尾城の魅力発見と発信のプロジェクト」について報告している。同校では、観光の取り組みを充実させることで交流人口を増やし、地域活性化を図る取り組みを行っている。プロジェクトは、平成28年11月1日にスタートし、まずは「七尾城・七尾市街のマップ作り」と「七尾城のガイド」の二本柱で活動を始めた。七尾城に着目したのは、全国の城マニアが増加し、お城ブームが到来していることや、北陸新幹線金沢駅開業後、外国人観光客が増えていること、七尾城は日本百名城に入っていることや、日本五大山城の一つとされるからである。
 生徒らはフィールドワークを行い、写真、記録、ガイドへの質問、観光ガイドを実践するなどを通して、日本語、英語の「七尾城・七尾市街のマップ」(交流人口UPマップと命名)を作成し、大きな成果を上げている。
 七尾市出身で、現在、プロデューサーをされている藤橋由紀子氏の人生の歩み「故郷・七尾の私の映画物語」は、大学卒業後に勤務した岩波ホールでの企画運営にかかわり、映画監督との出会い、49歳でプロデューサーとして再スタートを切り、映画上映、コンサートなどをプロデュースし、精力的に活動する生き生きとした姿を伝える。
 平成29年度、七尾城址文化事業団事業として開催された講演会(平成29年10月29日)で、城跡めぐり作家の斎藤秀夫氏が行った講演「一旅人の見た『能登畠山氏の歴史とその居城、七尾城の盛衰』、さらに前田利家と佐々成政の「末森城の戦い」の2編が掲載されている。
「三十年の節目を迎えたモントレージャズフェスティバルイン能登」の特集では、このフェスティバルの生みの親、開催理事会・理事長、実行委員長、ジャズピアニスト、参加者らがインタビューに答えている。七尾マリンパークで開催しているフェスティバルの熱狂と感動が伝わってくるような内容である。
 発 行 (公財)七尾城址文化事業団
 定 価 1,000円(本体926円)
 問合せ 七つ尾編集委員会事務局 TEL 0767−53−6674

(2018年3月31日18:55配信)