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書評 置賜の民俗 第25号


okitama25 置賜民俗学会(梅津幸保会長)が発行する会誌。同会は今年の研究テーマに『瞽女様のよねざわ歩き』を取り上げた。最後の瞽女といわれる小林ハルを紹介した『北国の春』は有名だが、置賜においても瞽女との多くの出会いやドラマがあった。なぜ置賜で瞽女たちが喜ばれ、受け入れられたのかというその実態に迫る。
 本誌では、平成30年6月24日に米沢市の伝国の杜で開催された置賜民俗学会のシンポジウムの模様を取り上げる。はじめに長岡市の葛の葉会、横川恵子氏を迎えて瞽女唄の実演を行った。続いて、守谷英一氏(置賜民俗学会副会長)の基調講演『瞽女の歩いた道』、江口儀雄氏、清野春樹氏、原田雅子氏がそれぞれ米沢周辺での瞽女の記録や記憶について紹介した。続いて上杉博物館主任学芸員の角屋由美子氏がコーディネーターを務めて、パネル・ディスカッションが行われた。
 この中で江口儀雄氏は、「瞽女唄を聞かせると蚕が当たるとか、瞽女の三味線の古い糸を貰って蚕室に貼って置くと鼠害にあわないとか言われ、養蚕農家では神様のように扱われた」と述べ、瞽女たちを大切にしていたことを紹介した。また清野春樹氏は、村人は瞽女の芸を喜び、不思議な力を持った人たちとして尊敬し、自分達にはない聖性を帯びた者として瞽女を敬った。だから、瞽女は置賜地方を旅することを「米沢歩き」と言って喜んだと述べた。
 本誌では他に、髙岡亮一氏が「置賜の詩吟」、鈴木真人氏が「山形の和算についてー会田安明没後200年を記念してー」、梅津幸保氏が「八幡原の飛行場と競馬場」などが掲載されている。

発 行 置賜民俗学会
    事務局 長井市九野本2078(島貫幹子)
    TEL 0238-84-7172
発行日 平成30年12月15日
頒 価 900円(税込)

(2018年12月29日12:10配信)