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書評 遊学館ブックス「山形の生い立ち」


yugakukanH30 公益財団法人山形県生涯学習文化財団(山形県生涯学習センター、山形市)は、生涯学習の機会を山形県民に広く提供するため、平成2年の開所以来、様々な講座を開設してきている。「山形学」講座はその中心的な講座で、毎年テーマを変えている。
「山形学」とは、山形県という地域を多様な切り口から調査、研究する地域学であり、山形県の自然や文化など、それに関する書物や情報のあらゆるものが教材となる。
 そこには、山形を知る、山形に生きる、山形を創る、の3つの願いが込められおり、山形県人としてのアイデンティティを確立することで、地域を担っていく人づくりを目指している。
 平成30年12月に発刊された遊学館ブックス『山形の生い立ち』は、平成29年度に実施した「山形学」フォーラム〝地理・地形で読み解く山形の魅力〟及び、「山形学」講座〝山形の生い立ち〟の内容を記録したもの。
「山形学」フォーラム〝地理・地形で読み解く山形の魅力〟は、平成29年6月に開催され、特定非営利活動法人 日本水フォーラム代表理事 竹村公太郎氏が「地形で紐解く地域の未来」と題して基調講演を行い、トークセッションでは「だから地理・地質は面白い 身近な地域の魅力を再発見しよう!」をテーマに行われた。
 竹村氏は、自分たちが生きてきた時代の価値観は、「効率性」であったとし、その結果、物は画一的になり、都市への集中が地方の衰退を招き、スピードを追求した工業機械化は、地域産業の多様性の喪失となり、林業・農業・漁業が衰退し、今、日本国土は荒廃に向かっていると述べる。
 しかし、日本には豊かな自然があり、南北に長く季節、気象、地形などが違い、多様性に富んでいることから、日本全国同じものではなく、林業、農業、漁業、観光・サービス業などの分散型のものづくりができると述べる。
 さらに21世紀は、安全で多様性があり、自然豊か、分散型、ネットワークで結ばれた国土が求められ、エネルギーを始めとして、持続可能な社会を考えないと生きていけない。そのためには流域の再生が必要で、その流域から離れない産業、流域に人々を呼び込む新しい力、観光を考えていかなければならないと結んだ。
 講座「山形の生い立ち」は、館内学習が2回、現地学習3回が行われた。最上川上・中流については、最上川リバーツーリズムネットワーク代表の佐藤五郎氏、米沢城下町については、おしょうしなガイドの香坂文夫氏が講師となって、南陽、高畠、米沢市内を見学している。イザベラバードの話や、黒井堰、掘立川、直江石堤、武者道など、とても面白いお話をしながら、重要な歴史スポットを回っている 。

定価 本体1,000円+税
発行 公益財団法人山形県生涯学習文化財団
発行日 平成30年12月20日

(2019年1月19日17:30配信)