hptitle01

書評 「えにしだ」2015 二月・三月合併号

enishida2015fema 2015年二月・三月合併号の巻頭では、舩山達郎氏が「昭和のクーデターとまぼろしの句集」と題して、5・15事件とその事件にかかわった海軍中尉、三上卓について書いている。三上ら9人は昭和7年5月15日、永田町の首相官邸を襲い、「話せばわかる」という犬養毅首相に、「問答無用」と、黒岩少尉がピストル弾を放ち、総理のこめかみに引き金を引いたのが三上中尉だった。
 この結末は翌年の横須賀海軍鎮守府での軍法会議で、三上中尉は叛乱罪で死刑が求刑されたが、判決で禁固15年を言い渡され、昭和13年に出所した。昭和初め、三上が作詞したものに「青年日本の歌」があり、品位と格調のあることから大人気を博した。このレコード盤が米沢市の吉田写真館にあった。現当主の実父は、三上と親交があった。同家には、三上の書と色紙がいまも残されている。この吉田家に、表紙に布が張られてある三上作のまぼろしの句集『無韻』が残されていた。三上は獄中を、思索の時として過ごしていたが、その時に詠んだものである。句集『無韻』は、昭和29年に出版された。
 合併号では、巻頭作品や平成26年度NHK全国短歌大会・入選歌5首が紹介され、また二つの随想が掲載。一つは軽部松江氏の「煩悩との決別」、胃癌の病名を告げられたとき、身の廻りの整理をはじめ、実家に手紙を書いた。80歳で胃癌の摘出手術をして、再発の危険期間の5年を無事に経過した。今の至福は、病院の先生、看護婦さん、家族、友人、みんなの温情の賜と深く感謝し、最後に今は欲も徳も無になり、今日の一日を生きるのみ、との観念に筆者は到ったのは、観音さまの御加護かと述べている。もう一つは、大場英子氏が「孫と巡る北港」と題して掲載している。

発行所 金雀枝短歌会
発行者 舩山達郎
定   価 1,000円
問合せ 0238−44−2903

(2015年3月4日16:50配信)