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 書評 「えにしだ」  2015 一月号

enishida2015ja 2015年一月号では、巻頭で大場敏子氏が「この頃思うこと」と題する一頁随想を掲載している。昭和12年生まれの著者の義務教育時代は戦中で、日本には神風が吹き、必ず勝つと思い込み、「欲しがりません勝つまでは」の合い言葉を信じて弁当のおかずは梅干と大根漬けだったことを振り返る。子供心に戦争など、どうしてあるのだろうと、いい事は何もないのにと思っていた。「それは今も変わらない」と述べている。集団的自衛権の見直しなど、日本の戦後体制を大きく変更するいまの政治のありようを、戦中を経験した人ならではの視点で私達に考えさせてくれる内容となっている。
  巻頭会員の作品のほか、「えにしだ」の一年として、同短歌会の編集者である今謙悦氏が同会の一年の歩みを紹介している。「巻頭作品の一年」では、舩山達郎氏が話題性のある作品をピックアップして講評する。「えにしだ詞華集」では、私の歌一首として自身の歌を紹介する。
 高橋タミ氏の随想「仏の御加護」は、ご主人の一周忌を終えて、念願だった四国八十八ヶ所巡礼の旅でのお話。急なトイレで時間をとられているうちに、バスの仲間とはぐれてしまい、急いでバスに戻ろうとするが上り坂で足が前に出ない。かたわらの草に座り込むと、「おおい、ばあ」との声がする。振り向くと、ぢいさんの顔が次第に近づいてきた。そこでぢいさんとの会話がはじまる。「…えんま様に急に呼び出され、お前が大そう難儀しているようだ。直ぐ行って助けてこいとのおおせ。三途の川を渡る往復切符が許可証がわりさ。」 この続きはお楽しみである。ほんわか心が温かくなるお話。

発行所 金雀枝短歌会
発行者 舩山達郎
定   価 1,000円
問合せ 0238−44−2903

(2015年3月4日16:50配信)