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書評 「かいもぢ」


kaimodi19 著者の「ときなおうみ」さんによる2冊目の小説集である。とき(本名 金田直美)さんは、1952年、米沢市に生まれ、都留文科大学英文学学科を卒業後、山梨県都留市で幼稚園教諭を経て米沢に戻り、南陽市、川西町、米沢市内の小中学校の臨時教諭として勤務された。
 米沢鷹山大学の小説・エッセイ講座「梟の会」で学び、現在はその会員である。エッセイを皮切りに、女性をテーマにした小説にも幅を広げている。
 本小説集『かいもぢ』には、『入り口』、『俺の帰る家は』、『汽車みちに走る』、『「かいもぢ」になる』、『顔写真』、『思い出のシルシ』、『夢のために』の7つの短編が入っている。
 『「かいもぢ」になる』では、働いて自立したいと願っている25歳の今田勇太郎が、おじいちゃんの看病、その死を通しながら人生のはかなさを感じる姿が描かれている。「かいもぢ」とは米沢弁で「そばがき」のことで、蕎麦粉を練ってから温めて鏡餅のような形にして、そこに醤油やゴマだれをかけて食べるもので、そば打ちをせずに簡便に調理ができることから農家などで食されてきた。ふわふわして柔らかく、そばのように硬くない。
 そしてある日、勇太郎は無免許で父の軽トラックを運転して、電柱に衝突して短い生涯を終える。
 ときさんの作品には、ニートの若者が登場したり、孤独な老人だったりと、不幸な人が登場する。ときさんのこれまでの人生と重なる部分があるからだろうか。あとがきの中で、著者は一言余計なことをいうので会話に失敗する。そんな自分がエッセイや小説を書いているのは、人とつながっていたいという思いがあるからと述べている。(評者 米沢日報デジタル/成澤礼夫)

著 者 ときなおうみ(本名 金田直美)
発行所 不忘出版
発行日 平成29年4月11日

(2019年1月28日11:40配信)