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書評 渡部幸雄 童話集/童話集(第二集)


watanabe1 川西町大字下平柳在住の渡部幸雄さんは、昭和7年生まれの今年満87歳。昭和20年、吉島尋常高等小学校を卒業後、家業の農業に従事し、現在は米沢牛の素牛(もとうし)となる子牛を生産する畜産農家である。
 これまで、川西町農業委員会委員、川西町和牛振興会会長、山形川西農業協同組合理事などを歴任、一方で、川西町文化財保護協会副会長、県立山形博物館友の会会員、県立山形うきたむ考古資料館考古の会会員として、また川西町でFクラブという写真の会も主宰し、文化面での活動も顕著である。
 渡部さんはよく勉強している。自宅の書斎には歴史関係の書籍がずらりと並ぶ。特に、古代史や郷土史に造詣が深い。平成24年に渡部さんが発刊した「下平柳史」は、下平柳の古代から現代までを体系的にまとめあげた通史本で、渡部さんの幅広い教養と歴史の洞察に溢れた圧巻である。
watanabe2 そんな渡部さんのもう一つの顔は、童話を愛する人である。平成28年6月の童話集に続いて、平成29年4月に、第二集童話集を刊行した。各第5話からなる童話集である。
 最初の童話集第二話の「どじょうとげんごろう」は、遠い山の麓から流れてくる小川が舞台。そこに住むお腹が空いたげんごうろう虫は、どじょうの頭をつついて食べてしまう。そして、何事が起こったのかと頭を出したどじょうを次々に食べてしまい、怒ったどじょうたちは、大勢で泥をかき回して、川の中を真っ暗闇にしてしまった。げんごろうは、息が苦しくなり目も見えなくなり困ってしまう。そこへ年を取ったげんごろうが出てきて、「どじょうさん、悪かった。」と謝ると、どじょうは「いやいや、勘弁できない」と、いつまでも怒っている。
 げんごうろうは困ってしまい、「どじょうさん、そのかわり、泥の上に出てきて泳いだり、遊んだりしてもいいよ。」と言って謝ると、どじょうは「それなら、勘弁してあげる。」と言って、どじょうも泥から上がって遊ぶようになったというお話。
 大きな文字と、ひらがな文字で、幼児に読み聞かせできる、分かりやすいストーリーで、他人を思いやる温かい心が見えてくる。確かに渡部さんを見ていると、子供のような純粋な心の持ち主である。その優しい心で、10話の楽しい童話が紡ぎだされた。(評者 米沢日報デジタル/成澤礼夫)

著 者 渡部幸雄
    川西町大字下平柳349

(2019年1月28日15:50配信)