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書評 歌集「輪廻」(発行者 舩山達郎)


rinnne-1 昭和22年3月、歌人結城健三が創刊した歌誌「えにしだ」(金雀枝短歌会発行)は、平成29年2・3月合併号、創刊70年記念号の通巻835号をもって終刊となった。戦後間もない窮乏の時代に短歌という文化の光を掲げ、結城健三の元には多くの人たちが集まった。あれから70年近くが経ち、会員は高齢になり、退会者が増えて会員数の減少が続いたことで財政面でも厳しくなり、平成26年5月号以降、月刊から6・7月、2・3月を合併号にして、年10回の発行に変更したが、平成28年11月、運営委員と支部長の懇談会が開催されて、創刊70周年を期に歌誌「えにしだ」の終刊が提案され決定した。
rinnne-2 歌誌「えにしだ」の運営委員長を務めていた舩山達郎氏は、歌誌「えにしだ」の終刊を受けて、平成29年6月より、自らが発行者となり、隔月で歌誌「輪廻」の発行を開始した。その時に歌人仲間に挨拶状を差し上げている。
「命ある限り短歌を作る人のために次のような企画をいたしました。」との書き出しで始まり、
一、年経費を一万円とする。さしあたって郵便局から定額小為替で五千円を送って下さい。
二、作品は五首だけを題をつけて送って下さい。印刷して小冊子にして或る冊数をお送りします。
三、小冊子のタイトルを「輪廻」とします。
四、集会なし。経費決算はしません。
五、この企画は、私がぼけるか死ぬかまでとしますので、ご了承下さい。
六、私の没後、誰か継いで下さればありがたいことです。
七、この文書は、えにしだ一月号に年賀広告をされた方にさし上げました。
 
 時代が変わり、社会が変わり、人も変わる。それまでと同じやり方を続けていくことができなくなった時、「立ち止まり、振り返り、そしてまた前に進む」ことが必要である。舩山氏の短歌を愛する心は、いつどんな時にも熱い。上記の一〜七までを見ると、今度の発行のやり方は知恵を絞り、とてもシンプルに、そして自分でできる範囲の事として、何としても継続していこうという姿がたくましく、何とも微笑ましい。
 「輪廻」とは、生命の死とその蘇りである。これまで何回か、死の淵を歩いてきた舩山氏だけに、そのタイトルはいかにも舩山氏らしい。平成29年6月号の第1号には27名、平成30年9月号の第9号には31名が投稿し、輪が広がっている。歌人にとって、日々の思いを五首にまとめるというのは大変な苦労だろう。選りすぐられた言葉と思いが凝縮された短歌をその中に見るのである。(評者 米沢日報デジタル/成澤礼夫)

発行者 舩山達郎
    山形県川西町吉田1494(TEL 0238-44-2903)

(2019年2月1日15:30配信)