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竹田 歴史講座

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書評 『杜 第43号』(杜の会)



mori43 『杜』は、寄稿した枚数による負担金制度で編集されている同人誌で入会費はゼロ。小説、エッセイ、詩、戯曲、俳句、短歌、絵画、彫刻、書など、ジャンルは問わず誰でも投稿が可能。現在、会員は11名で、編集・発行人は米沢市芸術文化協会副会長をされている米沢市在住の清野春樹氏。第43号では小説4編、エッセイ・思索4編で山形県内外から9人が投稿した。
 小説では、はじめに清野春樹氏が『冬の陣』と題した作品を発表した。原稿用紙28枚、一万字を超える長編である。物語は、関ヶ原の戦いの後、会津120万石から米沢30万石へ移封された上杉家の歴史から始まる。移封に伴い、現在の福島県猪苗代町にいた武士たちは、米沢市南原猪苗代町に住む場所を与えられ猪苗代組と称された。彼らは荒れ地を開墾をしながら松川の堤防の決壊に備えるためにおかれ、原方衆と呼ばれる下級士族たちである。
 小説では、猪苗代組の多功新三郎と栗木又一という2人の鉄砲足軽を登場させ、米沢藩の鉄砲製造の歴史や彼らの生活や鉄砲の訓練の様子を披露する。小説のハイライトは、徳川と豊臣の戦さである「大阪冬の陣」に出陣した上杉武士たちの闘い。ここで直江兼続が白布高湯で作らせた1000張の鉄砲と猪苗代組の戦闘での活躍が披露される。大阪城を取り巻く徳川軍と豊臣軍の間の繰り広げられる熾烈で、リアルな戦闘場面は圧巻である。清野氏の見事なストーリーの展開に、読者は引き込まれていくだろう。
 他に井上達也氏の「居眠りジイジの孫遊び」は、原稿用紙が1枚ほどのショートエッセイのとても良い例で、普段、活字に親しんでいない人にもジイジの視点から世の中を面白、おかしく見れる作品である。そして、普段の生活の中であれこれ考えて、工夫を凝らしていくことが楽しい、その積み重ねが人生を有意義にすることを教えてくれる。花火での火傷、山での遭難事故など、失敗や教訓もある。そうやって井上氏は大人になっていった。
 八島信雄氏は、「山里の一日」という紙芝居を紹介している。(書評 米沢日報デジタル/成澤礼夫)

書 名 『杜 第43号』
編集・発行人 清野春樹
発行所 杜の会 米沢市城西3−9−6
    TEL 0238−23−1729
頒布価格 800円+税
発行日 令和2年12月7日
 
(2021年2月5日12:15配信)