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竹田 歴史講座

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書評 『詩集 青春と木和田橋(第4集)』髙橋祥泰著



kiwada 戊辰戦争の際に会津藩主からの密命を受けて米沢藩に援軍の求めで来たものの、それが実現できずに米沢城下で切腹した会津藩士堀粂之助の墓前祭が、昨年10月、米沢市の龍泉寺で厳かに行われた。墓前祭が終わってから直会が行われ私も参加した。その席に「おしょうしなガイドの会」会長をされている髙橋祥泰(よしひろ)氏がおられた。髙橋氏は、消防署員の仕事を退職されてからは、米沢市自衛隊協力会や、観光客に米沢の歴史を案内する「おしょうしなガイドの会」の活動など、目を見張る活動をされている。
 これまで髙橋氏とは顔を合わせても、中々、お話をする機会がなかったが、この日は目の前に座られたこともあって、初めてゆっくりと話をすることができた。その時、髙橋氏から詩集を出版したと聞いた。
 数日後、わが社の郵便ポストに、『詩集 青春と木和田橋(第4集)』が入れてあった。見れば髙橋祥泰著とある。私が不在時に来られたらしい。「やはり本当だったんだ!」と驚きが先だった。
 巻頭に、元県立米沢興譲館高校校長で、現在、市立米沢図書館長をされている岸順一氏の挨拶文が掲載されている。それによれば、平成4年から平成28年まで(本の出版時点現在)、わずか20数軒の小さな村落で、「こぶしの花」というコミュニティー紙が休みなく発行されているそうだ。岸氏は、それは「ひとえに地域の伝統や生活の歴史を心に響く詩とともに後世に残そうとする髙橋祥泰さんの情熱と詩作の才」と述べている。「こぶしの花」には、髙橋氏の住む米沢市木和田の歴史や文化・風習が詳しく紹介され、今昔の行事や出来事、そして人々の様子が写真を交えて描かれている。
 本書の中にある詩は、毎回「こぶしの花」に掲載された木和田の豊かな自然や、人の温かなぬくもり、そして強い絆が描かれている。挿絵は安部吉春さん。
 本書は第一章から第四章まで、計42編の詩が収められている。温かな心にあふれ、女性のような繊細でナイーブな感性を感じる詩集である。そして、青春のど真ん中にいるような若々しさを感じる。サミエル・ウルマンの『青春』に通じる。それでは論より証拠、その一つを紹介してみよう。

 『約 束』
           髙橋祥泰  

女の子が河原の草むらに寝転んで
浮雲を見つめていました
男の子もすぐ傍に寝転んで
流れる綿雲を見ていました
たくさんの雲たちが右から左に
ゆらゆらゆらゆら流れていきます
ふたりは顔を見合わせ
微笑みながら雲たちを見送ります
綿菓子みたいな雲が二つ近付いて
仲良く手をつないで流れています
そのうちちょっと風が強く吹いて
雲はハートの形になりました
二人はまた微笑みあい
手を軽く握り合いました
青春の夢は膨らむのも大きいが
ちょっとの悪戯で壊れやすいもの
男の子は立ち上がり野花を摘んで
女の子に渡し
そっと小指を合わせて言いました
「あの雲さんと約束ね」って

(書評 米沢日報デジタル/成澤礼夫)

書 名 『詩集 青春と木和田橋(第4集)』
著 者 髙橋祥泰
    米沢市大字木和田165−3
発行日 平成28年1月25日

(2021年2月10日16:30配信)