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米沢工業高「ゼロエミッションプロジェクト」

     写真提供=米沢工業高校

【動画配信】

 「電気自動車を作りたい…」。生徒の一言から、米沢工業高校(小野庄士校長)ゼロエミッションプロジェクトの電気自動車(EV)開発が始まり、製作から約2年の歳月を経て、昨年12月に正式に完成発表会が行われた。原動機付き4輪のナンバーを取得をしているため、公道での走行も可能となっており、6月には次世代自動車産業展2011(会場:東京ビッグサイト)へ初めて出展される。




「電気自動車を作りたい…」あれから2年

 実際に開発に乗り出したものの、高校生がEVを製作するのは前例がなく、課題も山積みのスタート。さらに従来通り、電力会社から電力を取る方法では、二酸化炭素を排出してしまうため、高校で発電できるような「エコ車庫」の建設にも着手。自然エネルギーを利用した究極のエコロジーを目指した。

 プロジェクトは3分野に分かれ、それぞれEV製作は機械生産類、風力・太陽光発電などの自然エネルギー利用システムの開発は電気情報類、充電設備やエコ車庫製作は建設環境類が担当し、ゼロエミッションプロジェクトが始動された。


写真提供=米沢工業高校

 EVの基本設計は実用を目指すため、走行性能や居住性、安全性を考慮したフレームや内装を設計する必要があった。製作に当たっては、生徒自らが製図を行い、樹脂の塗布や成型などの原型製作を手がけ、動力源となるバッテリーは大容量が可能なリチウムイオン電池を地元企業から提供を受けた。ガソリン車に比べてもパーツ数は少ないが、生徒が製作したものだけで200点以上、全体では400〜500点以上あり、組み立ては一つひとつ、生徒たちの手作業で作り上げられた。

 ナンバーは市に届け出を行い、米沢市い「・138」(いざ、発進!!)を取得。山形県庁や置賜総合支庁、市役所などに展示し、真っ赤に彩られた車は市民からの注目の的となっている。

 自然エネルギーによる充電については、太陽光発電と風力発電の2つを兼ね揃え、蓄電装置に電力を貯めることで、EVの安定した充電が可能。風力発電は定格発電1200W(風速12m)で2年前のプロジェクト初期の頃に製作・完成した。太陽光パネルは可変式のパネル4枚を採用したことにより、四季の太陽高度に応じて角度の調整が可能となったほか、積雪などにも強いという。

 この2つを合わせると最大1600Wの発電が実現したほか、電力の心臓部となる蓄電能力は48V100AH、インバータを経由させ、EVへは100Vで出力される。満充電の場合、EVを約4回分を充電できるという。
 EVを収納、充電させるためのエコ車庫は昨年6月23日から始まった。建設する現場を視察し、さらには車体の大きさを確認。アイディアを募らせ設計し、アーチ状のものなど複数の候補から太陽光パネルを設置しやすく、雪を北側に落とせる利用があり、現在のような形となった。CADで製図し、5分の1のミニチュア模型を製作後、9月に高畠町和田地区財産区の間伐材を使い、幅2730センチ、奥行き3640センチ、間口一間半ほどの大きさの車庫が完成。ゼロエミッションプロジェクト当初の目標が達成された。

 真っ赤に塗られたEVは全長2450㎜、全幅・車高1150㎜と大人一人が乗るほどの大きさだが、乗り降りしやすいようドアをガルウィングにしているため、外観は正にスポーツカー。車体は軽くて丈夫な強化プラスチックを使用し、重量350キロ。バッテリーはリチウムイオン電池(82V、24AH)を搭載し、出力600Wで最高速度は60キロと公道走行に問題はなく走行できる。 一回の充電で走行できる距離は30キロ程度となっているものの、最大バッテリーを搭載した場合には100キロほどを走行でき、高校生発の究極のエコカーとして話題集めている。

 今後はコンピューターによる総合管理の充実を図り、安全装置などにも手を伸ばしていきたいという。さらに、自動操縦等の研究にも力を入れるほか、エネルギー効率の観点から天候と発電量のデータを取り、EVの実用化に向けるとともに、エコ車庫のような自然環境との調和のとれた建築物についても普及・発展させたい考えだ。