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寄稿『秋は「白い食材」で体を潤し、未病を防ごう!』

寄稿者略歴

sumiko 鈴木寿美子(すずきすみこ)
 山形県米沢市生まれ。全日本薬膳食医情報協会認定薬膳アドバ
 イザー。釜山大学校韓医科学研究所健康文化研究センター主催
 東医宝鑑アカデミーティーセラピー専科3期卒業。韓方茶セラ
 ピスト。米沢市在住。



 10月も中旬に入ると、山も紅葉で彩られ、目で見ても秋の深まりを感じられます。また、日の長さも短くなってきたせいか日暮れも早く感じられ、朝晩の冷え込みも厳しくなってきました。
 この時期は、朝霜が見られることもあり、二十四節気の「霜降(そうこう)」にあたります。字だけでみると美味しそうな文字ですよね。
 夏から冬に変わるこの時期は、朝晩の気温が低くなり、日中との気温差や夏からの暑さで体力を消耗さている体には負担をかけやすく、体調を崩しやすい時期です。特に、今年のような酷暑で体力を奪われ消耗したままの状態の体では、いくら日中過ごしやすくなったからと言っても疲労が抜けず、また、空気が乾燥していることから肺の機能が低下し、咳や喉の痛みが続いたり、皮膚が乾燥して痒い等、「バランスを崩していますよ」と体から不調のサインが症状となって現れやすくなります。
 この乾燥による肺の機能低下の不調のサインは、風邪や気管支炎などの呼吸器系の病気や症状に出やすく、乾燥の度合いが強い真冬は、多く見られますが、冬ほどの強い乾燥はなくても、夏からの湿気に慣れた状態の体が急に乾燥することで、大きなダメージを与えることがあるのです。
 実は、私も先日、カラッと晴れた日が続き空気が乾燥してていた時に、喉の調子が良くなかったことがありました。「風邪かな?」とも思いましたが、喉だけが痛いので、喉を潤し、痛みを改善してくれる今が旬の「梨」を使い、デザート感覚で飲む梨のお茶を作り食したところ、次の日には、喉の痛みも落ち着き、調子も良くなりました。
 私の場合、「病は、気から」というように、喉に良いとされるものを自分で作って食したことで満足し、「治った気」になったのかもしれません。
 しかし、私のように、病になる前に予防し未然に防ぐことを東洋医学では、「未病先防」と言います。私は、「未病先防」を梨を用いて実際に行ったわけです。皆さんも、普段の生活の中で、病に至らないように気を付けて「未病先防」していることはありませんか?これから医療費も高くなり、増々自分の体に対し「自己管理」が必要になって来る時代です。大きな「病」にならないように未然に対策を取り「未病先防」で健康に過ごしたいですね。
pear-1 ところで、今回私が喉の痛みを和らげるために用いた「梨」の様に、体に潤いを与える働きを「滋陰(じいん)」といいます。秋が旬の食材には、体の保水力を高め、乾燥から体を守る「滋陰」の食材が多く、梨の他に果物では、柿、ぶどう、りんご、根菜では山芋、大根、白菜があり、他にはキノコなどがあります。
 また、東洋医学的に「秋」を陰陽五行論に当てはめると、五行の「金」に属し、五臓は「肺」。つかさどる機能は、呼吸機能と皮膚機能などになります。他に、季節に体調不良を引き起こす季節の外気にもあたる五気(又は五悪)は、乾燥の「燥」にあたり、五色は、「白」になることから、「秋には、乾燥するので、肺を潤すために白いものを食することが体に良い」と、解釈することが出来ます。この五行論に秋が旬の食ものを照らし合わせると色が「白い」ことに気が付きます。確かに、秋が旬の大根や蓮根、などの「白い」食材は、脾胃を助け消化に良く、水分もあり肺を潤すものなどが多く感じられます。
 そこで私は、白くて甘く水分がたっぷりの「梨」を用いたわけです。梨は、体を冷やす寒涼性食物ですが、水分が多いだけでなく、成分の中にアスパラギン酸が含まれていることから、疲労回復や体調を整え新陳代謝を高めるだけでなく、肺を潤し、咳が出で喉が痛いときには、咳が落ち着かせ喉の痛みを和らげると言われていますし、肝機能を高める作用がある食材といわれることから、「梨」は、酒を解毒する食材の1つとされています。
pear-2 他にも梨には、「ソルビート」と言われる低カロリーで虫歯になりにくいといった特徴のある果糖も多く含まれており、虫歯を気にすることなく、子供にも食べさせることが出来ます。ただし、ソルビートの取りすぎは、お腹を壊しやすくなるので気をつけて下さい。
 このように、体に良い「梨」。実は、その効能から中国では、「秋梨膏」という梨のジャムをお湯で割って飲んだり、韓国に「梨熟(ペスッ)」という梨のデザート感覚で飲むお茶として、皇帝や王様に出す宮廷料理として飲まれていました。
pear-3 山形でも、これから旬の梨と言えば「ラ・フランス」です。和梨に比べ甘味も多く、とろけるような食感。もちろん、梨ですから、和梨と同じ効能があります。もし、食べ頃が分からず、少し痛んでしまった時は、ジャムにしてみてはいかがですか?皇帝も飲んでいた秋梨膏よりも高価な秋梨膏になるかもしれませんね。
 ところで、今回、私が作ったのは、「梨熟」になります。皆さんに、私が作った梨に一工夫するだけで、風邪の予防になる「梨熟の作り方を紹介します。
 先ずは、梨を八等分に切り、黒こしょうを詰め、鍋に梨が隠れるくらいに水を入れた鍋に生姜スライスを2〜3枚と三温糖(ハチミツでも可)で梨が透明になるまで弱火で煮込み、冷ましてから食べるだけで完成です。もちろん、温かい状態で食べることも出来ます。
 本来、梨は、体を冷やすものですが、そこに温熱性のコショウや生姜、シナモンを加えることで、体を温め寒熱のバランスと整えてくれます。ここに、白きくらげや棗などを加えると美肌にも良い薬膳デザートに早変わりするのです。
pera-4 また、梨は、一年中手に入る食材ではありません。そこで、宮廷料理ではありませんが、私達の身近にあり一年中手に入る食材があります。今が旬の大根です。大根も風邪の予防になります。冬になると、鍋やおでんなどにして食べる大根ですが、大根を角切りに1㎝程の大きさに切りハチミツに一晩漬け「大根シロップ」を作ります。 シロップの汁は、お湯で割ってインフルエンザの予防や喉が痛い時に飲み、漬けた大根は、ヨーグルトに入れて食べると、お腹の張りや胃もたれなど脾胃の働きを助けてくれます。
 このように、旬の食材には、その時期にかかりやすい病を未然に予防する働きがあります。皆さんも今のうちに疲れを取り、来る厳しい冬に備えましょう。

(2019年10月20日16:50配信)