newtitle
バナー広告1




▲トップページへ戻る

「意外に知られていない、目にとっても良い"菊の花"」

寄稿者略歴
 鈴木寿美子(すずきすみこ)
suzuki 米沢市生まれ。全日本薬膳食医情報協会認定 薬膳アドバイザー。釜山大学校 韓医科学研究所健康文化研究センター主催東医宝鑑アカデミー   ティーセラピー専科3期卒業。韓方茶セラピスト。米沢市在住。


 
 秋が深まる10月から11月にかけて、よく目にするのが菊の花。大小様々な菊の花は、菊の盆栽などで鑑賞したり展示会や菊祭りなど各地で盛んにおこなわれるなど秋の行楽行事の一つになっています。ここ置賜地方でも、人形が黄色や白、ピンクなど色鮮やかな菊の豪華絢爛な衣装を身にまとった「菊人形」で有名な「南陽の菊まつり」がありますね。私も秋になったら、「菊を見に行かなくちゃ!」と出掛けています。
chry−1 私達にとっては、観賞用の花として、またお浸しなど食用としても一般的に馴染みのある「菊」ですが、中国では古来より「長寿」の象徴として漢方などに用いられており、食用の菊は、観賞用のものに比べて花弁が柔らかく、苦味が少なく甘みがあるため、乾燥させてお茶にしたものは、「延命長寿のお茶」とも言われ、古くから「菊花茶」として飲まれてきました。
 「菊花茶」というと、大抵の人は緑茶や烏龍茶、プーアル茶などの茶葉に茉莉花の香りを吸着させ「ジャスミン茶」に乾燥した花を中に入れ球状にした工芸茶である「花茶」を想像するのではないでしょうか? しかし、本来の「菊花茶」は、ジャスミンの味もしなければ香りもしません。香りがするとしたら菊本来の「ほろ苦い香り」がするだけです。
chry-2 先日、「菊花茶」の話を知人にしたところ、「私は、ジャスミンの香りが嫌いだから、菊花茶は好きでないの。」と言われてしまいました。本来の「菊花茶」を知らない人にすれば、「ジャスミンの味がする菊の花が咲く花茶」=「菊花茶」と思われても仕方のないことだと思いました。皆さんの中にも、「菊花茶」を知人と同じように「花茶」の一つだと誤解されている方が多いのではないでしょうか?
 本来「菊花茶」は、乾燥させた菊を単体で飲んだり、効能に合わせた材料とブレンドして飲むブレンド茶があります。イメージ的には、「東洋ハーブティー」と言った方が分かりやすいですね。ですから、ジャスミンの香りも味もしません。どちらかと言えば、菊独特のほろ苦さの中にほのかに甘味を感じる味です。

 その「苦くて甘い菊花茶」が、なぜ「延命長寿のお茶」と言われているのかというと、「菊」の効能が関係しています。菊にはたくさん種類がありますが、大まかにお茶にするのは「甘菊」と「野菊」になります。皆さんがお浸しやみそ汁の具にして食する「食用菊」は、「甘菊」にあたり、観賞用の香りが強い食べない菊が「野菊」にあたります。
 chry-3甘菊や野菊も含めた「菊」は、体を冷やす「微寒」の性質を持っており、菊の持っている「微寒」の清熱作用は体に溜まった熱を発散させることから、詰まり溜まった「気」を「解して散らす」効果があります。例えば、怒りが頂点に達すると顔が赤くなり、「顔から火が出ている」などというように、カーッとなるような怒りを「火」で表すことがあります。この怒りやイライラ、胸が苦しいchry-4等のストレスにより体に作られた「火」が上へ上がっていくと頭痛や肩こり、不眠、顔のほてりや吹き出物などの症状に現れてきます。
 菊にはこの火を消す解熱作用があります。焚火などで起こった「火」は、散らすと弱くなり消えていくように、菊の清熱作用で体に出来た火を散らして弱くし、「解す」と考えられているのです。(人の体の「火」は、溜まり積もって出来ると考えられているため「消す」ではなく「解す」になるため。)
 菊の働きは解熱作用だけではありません。鎮痛作用がある成分も含まれているため、頭痛を抑えるのに用いられることもありますし、刺身の“ツマ”としても用いられるように解毒作用や殺菌作用、悪玉コレステロールの発生を抑えて生活習慣病を予防する働きもあります。また、発がん物質の抑制を期待されている成分も含まれているのです。他にも血中の尿酸値が高くなり、尿酸が結晶化することで起こる痛風などの強い関節痛の症状にも、尿酸が生成されるのを抑制し、併せて尿酸の排出量を増やす作用もあるといわれているのです。もちろん、抗酸化作用に優れているビタミンB2CEが豊富に含まれているので、アンチエイジングや美容にも良いとされています。
 何より凄いのは、体の熱が上へ上がると目が乾燥したり、目が充血しやすくなるなどの目のトラブルが起こります。菊は、目の充血や目のかすれ、視力の低下などにも効果があるとされており、特に最近は、スマホやパソコンを長時間使用するなどで目を酷使することで起こる目の疲れや眼精疲労などの目のトラブルにも菊の効能の効果が期待されているのです。(※ただし、体が冷えているような場合は、逆効果になるため、菊だけではなく体を温める材料と一緒に摂取するように注意しましょう。)

chry-5 このように、「菊」が「延命長寿」と言われるのには、私たちの健康をサポートしてくれる様々な効能が多くあるからなのです。このような効能を聞くと、皆さんも菊を沢山食べてみたくなりませんか? 実は、私たち山形県人は他県と比べると、菊を摂取していることがとても多いのです。それは、お浸しや酢漬け、天ぷらや味噌汁などの郷土料理としての「菊の料理」が多いからなのです。
 郷土料理なのか、私の記憶に印象に残っている我が家の菊料理と言えば、私が子供の頃、祖母作ってくれた「菊と花梨の甘酢漬け」です。「風邪の予防に」と秋から冬によく食べさせられた記憶があります。
 花梨は、喉を潤し、免疫力を上げ、疲労回復に良い平性(体を温めもせず、冷やしもしない)の果物。風邪の引き初めで喉が痛くて熱っぽい時など、寒涼性(体を冷やす)の菊と花梨を組み合わせることで解熱し、喉の痛みを抑えることが出来ます。今思えば、理にかなった料理だったと、先人の人の知恵には本当に驚かされるばかりで、改めて感心してしまいます。
chry-6 私は、お湯を注いで花を咲かせる「菊花茶」を作るために、花ごとサッと茹でて乾燥させましたが、山形県には、花びらをちぎって海苔のように薄く乾燥させた「干し菊」や「のし菊」があります。干し菊やのし菊にお湯を注ぐだけでも、花が咲かないだけで、同じ「菊花茶」になります。
 しかし、皆さんにはお茶にするより味噌汁にした方が、馴染みがありますよね。ですから、菊の味噌汁を飲んで健康で長生きできるように、また目のトラブルも改善しましょう!
 さて、先日作った菊花茶とお茶に合わせて作った「花のチヂミ」をご紹介します。目で見ても楽しめる「茶菓子」ですので、是非、皆さんも試してみて下さい。
材料)・白玉粉・・・100
   ・水・・・8090cc
  
 ・菊花・・・少々
   ・旬菊・・・少々
   ・棗・・・適量(無い場合は、クコの実や黒胡麻)

作り方)白玉を水でといで、団子上に纏めます。白玉駄子作りと一緒ですが、ここでは茹でずに潰し、ごま油を引いたフライパンで片面を焼きます。片面が焼けたらひっくり返し、その上に菊の花びらや旬菊、棗をのせ、膨れ上がってきたら皿に盛り、ハチミツや黒蜜などをかければ完成です。

(2019年11月24日11:20配信)