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          わが交遊録


「食堂の親父さんを喜ばせたKさんの笑顔」
                          成澤 礼夫
   
 35年前、私は大学生時代を神奈川県横須賀市で過ごしました。大学生たち10人ほどで月に何度か土曜日午後に集まって、社会のいろいろな問題や自分の生活を見直そうと学びの会を持ちました。
 その勉強会のリーダーだったKさんは、水戸市の出身で、一度私立大学工学部を卒業しましたが、歯医者の跡継になるということで改めて6年間の歯科大学に入り直した方でした。以前、空手をやっていたというだけあって、体格はよく気持ちも明るい方で皆の尊敬を集めていました。その勉強会の帰り道、Kさんと一緒に歩いていた私は、「夕食をご馳走しますから是非一緒に食べに行きませんか」とお誘いを受けたのです。
 Kさんが言うには、「ある食堂でご飯を食べたのだけど、帰り際、料金を払おうと思ったら親父さんがあんなに美味しそうに食べてくれたお客さんはあなたが初めてです。料金はいりません」と言われ、お金を受け取らなかったそうです。Kさんはその日忙しくて昼食をとる事ができず、「とてもお腹が空いていて本当に美味しかったのです」と話してくれました。私はKさんのおごりでその食堂で夕食を食べました。Kさんは親父さんから無料でご馳走になったことを申し訳なく思ってか、私をその店に連れて行ってくれたのだと思います。
 Kさんはその時にも本当に美味しそうに食べていました。最高の笑顔で美味しそうに食べたKさんは食堂の親父さんを喜ばせ、元気づけたのでしょうね。(なりさわのりお@米沢日報社長)

平成26年6月7日米沢日報掲載
平成27年1月30日14:45配信