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          わが交遊録


「大学時代に読んだ一冊の本」
                          石澤 弘樹
   
 小学生の頃から歴史好きだったせいもあって、これまで歴史や歴史小説を中心とした本に親しんできた。その中で、今もとりわけ印象に残っているものに、大学時代に読んだ司馬遼太郎氏の『坂の上の雲』がある。秋山兄弟や正岡子規など、四国松山の人たちをクローズアップしながら、日本が明治維新を経て欧米列強に追いつけとばかりに、不平等条約改正、殖産振興、富国強兵をスローガンとして、政治家、軍人、文化人、そして多くの国民が額に汗してがんばる姿が感動的である。当時の日本の国情や国力からすれば、遥か彼方にあるような欧米の先進的技術や社会システムを坂の上に例えて、矛盾を抱えながらも、それぞれ立場の違う日本人がひたすらに「国を良くしたい」という一念で理想に燃えて行動した。
 高校時代、自分を高めたいという気持ちが薄い私だったが、この本との出会いで、自分の中に何かしら熱いものがこみ上げてきた。私たち若い世代があの物語の中の、あの当時の人々のように、高い志を持って目標に向って行かなければならないのではないかと強く考えるようになった。私が国家公務員を志望し、国税庁に勤務することになったのも、国の仕事を通して国を良くしたい、社会に役立ちたいという気持ちがわき起こってきたからだった。
 バブル崩壊後の日本を称して、「失われた10年」とか言われているが、そのような日本を打開していくのが私たち若者の力ではないかと考えている。『坂の上の雲』は、いろいろな意味で私の人生に大きな影響を与えた本ということができる。(いしざわひろき@米沢税務署署長)

平成26年9月7日米沢日報掲載
平成27年1月30日14:45配信