hptitle01

          わが交遊録


「九里茂三先生の忘れ得ない授業」
                          河野 由一
   
 私は今年満81才になった。しばしば若き時代、とりわけ高校時代のことが懐かしく脳裏の中に甦ってくる。私が米沢興譲館高校在学中にお習いした先生の多くはすでに鬼籍に入られたが、九里茂三先生はご存命の一人である。
 九里先生は国語を担当されていたが、ある日、紫式部が著した「源氏物語」から明石の部分を授業で取上げた。源氏物語の恋愛部分である。そこを解説された九里先生は、一人その文章を読まれ感動して、顔を真っ赤にして恍惚感に浸っているように見えた。その姿は誠に凄かったことを覚えている。生徒たちもまた九里先生を感動させる源氏物語とはすごいんだと思ったわけである。
 九里先生は熱血漢溢れる教師で、頭脳明晰、容姿端麗、スポーツ万能、そして品格を備えた先生だったと思う。だから、普通の先生であれば必ず付けられるあだな(ニックネーム)が、九里先生に限っては無かったのである。それだけ素晴らしい先生だったことの証明になる。後に、九里学園高校校長、同学園長となられ、全国を股に活躍されたのはご承知の通りである。
 5〜6年前まで宴会等で九里先生でお会いすると、教え子の女性たちに囲まれた九里先生は、「河野君、いいだろう。こうでないと、人間は元気で長生きできないものだ」と、笑って仰っていた。九里先生は私の生涯の師である。(こうのよしかず@米澤直江會会長)

平成26年9月28日米沢日報掲載
平成27年1月30日14:30配信