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竹田 歴史講座

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          わが交遊録


「外木典夫先生との出会い」
                          矢部光男
   
 広く宗教や専門的知識を学び、行学二道を研鑽し、あらゆる面で役立つ人物に育ってもらいたいという願いのもとに、立正佼成会学林という専門教育機関が作られた。私は大学を卒業するとこの学林で3年弱の間学んだ。
 ここでその後の私の人生に大きな影響を与えた素晴らしい先生と出会った。当時、早稲田大学文学部教授、同大学常任理事を務められた外木典夫先生である。立正佼成会中央学術研究所の講師を務められておられた。
 私が立正佼成会本部企画室職員になってからは、外木先生と一層深いお付き合いをさせて頂くことになった。当時、立正佼成会では将来計画などを作る際に、外部の先生方にいろいろなアドバイスを頂戴していたが、その中の一人に外木先生がおられたのである。企画室の中で私は外木先生の担当となり、先生と泊まり込みで食事をしたり、外木先生が書いたものを私が清書するというような形で一緒になって仕事をおこなった。
 外木先生のご専門は社会学だったが、その時に人間の本質に迫るようなお話を若い私にして下さったことが忘れられない。いまでもその優しいまなざしとお声が私の脳裏に甦る。 
 「いろんな人が、みんな心のひだがあって、朝、起きて、そういうことをくり返していく。その中で人の幸せに少しでも寄与していく。それが大事だろう。違うか、矢部君」と話されたり、「人間の一生とはたいしたことはないんですよ。(人間)かかと分だけしか大きくならないんだから……。自分がえらいんじゃない、周りの人が立ててくれるからなんですから……。いい仕事しようよ」とおっしゃった。それはまるで立正佼成会の庭野開祖の教えを体現したようなお話の中身だった。
 大学に帰れば偉い先生であるにも関わらず、立正佼成会に来ると普通の人のような立場で私達に接して下さった。そのような姿勢を見るにつけ、私は感動したものである。先生は享年64歳と若くして亡くなられ、没後に発行された外木典夫先生追悼文集「出会い」と題する本に私も一文を掲載させて頂いた。(やべみつお@立正佼成会米沢教会教会長)