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やまがた生活協同組合 理事長 長谷部玲子氏


 日本には生活協同組合が600以上あり、生活クラブやまがたはその中の一つで40年前、お母さんたちが集まって牛乳の共同購入を始めたことからスタートした。自分たちの生活で必要なものを開発過程で生産者と一緒に関わりながら、安全性が高く納得したものをつくるという。生活クラブやまがたの組合員は約9000人。女性の組合員で2人目の理事長が誕生した。

ーー生活クラブのしくみは。

長谷部氏 生活クラブ生協は営利を目的としない事業です。やまがたの場合は共同購入と福祉の2事業に分かれています。自分たちの暮らしの向上を願って組合員が出資し、共同購入で利用、意見を出し合い運営に参加します。組合員と生産者が独自の安全基準を設け、添加物や遺伝子組み換え作物、環境ホルモンなど安全性が疑わしいものは使わず、全てを情報公開し安全、健康、環境にこだわったものづくりをします。

 福祉ではグループホームとしてNPO法人結いのき、たくろう所があり、組合員が活動の一環として携わっています。 

ーー活動するきっかけは。

長谷部氏 娘が生まれ、2歳になった時、近所に住む組合の運営委員の方から声をかけられました。以前から興味がり、子どもには添加物の少ないものを食べさせたいという思いと、共同購入なので近所に届けてくれ、買い物に行かなくてもいいという気軽な気持ちがありました。そのうち、色んな会議に出席、運営委員になり活動するようになりました。

 会議では活動する主婦の人たちが積極的に発言し、何事にもできないと言わずに挑戦する姿を見ました。意識の高い人たちが多く環境や福祉など様々なことを勉強させて頂きました。

ーー理事長としての抱負は。

長谷部氏 組合員は約9000人、実際に利用しているのは5000人ですが、全員が生活クラブの理念に賛同しているというわけではなく、温度差もあるのでそれを束ねていくというのは難しいと感じていますが、等身大で頑張っていきたいと思います。

 生活クラブの取り組みについては社会的に評価されており、ライト・ライブリフッドなど国際的な賞も受賞しています。そういう点でも他の生協や市販の商品との違いを知ってほしいですね。

ーー40年間、主婦が生産者と商品開発に関わってきた歴史があります。

長谷部氏 生活しているお母さん達が暮らしを良くするため、知恵を絞って頑張って来た歴史を感じます。それは売り手の都合ではなく、使う側の視点で作ってきたということです。普通の流通市場ではなく主婦の気持ちを実現してきたといえるでしょう。売りたいものと欲しいものは違うのです。大企業は売れるものを売っているのです。キャッチコピーの力で売れるように見せているという実態もあります。生活クラブの消費材は嘘がない。

ーー組合員の拡大も必要ですね。

長谷部氏 「食べる力」を大きくするために組合員の拡大は必要と思っています。生活クラブの目的は社会を変えることです。生産者や企業が添加物の怖さを自覚して使わなくなれば、どこで誰が何を買っても大丈夫な世の中になります。そのためには生活クラブのマインドに共感する人を増やさなければならないと思います。組合員、一人ひとりがなぜ一緒に食べる仲間を増やすのかそれが何に繋がるかを考えることが大切です。物の本質をきちんと見極める人が増えれば社会を変える力になります。

ーー今後の課題は。

長谷部氏 少し前までは食への意識はそれほど高くなくても、生活クラブに仲間と一緒に入るということもあった。今は個人の意識は高いがそれは自分の子ども、家庭のためにという人が多くなり、地域に繋がる横の関係はなくなってきました。

 繋がりが弱まったのは便利になりすぎ、人との関わりがなくなってきたためです。便利なことは楽ですが、心を使う機会が少なくなります。私たち世代の母親たちは煩わしいと班に入るよりも個人配達が多くなってきています。時代の流れということもありますが、運動を起こすには繋がりが大切で、いかに繋がってもらい、「食べる力で社会を変える」ことです。



はせべ れいこ
 昭和43年福島県生まれ。旭硝子(株)を経てコピーライター。生活クラブやまがた生活協同組合運営委員12年、理事を経て、平成23年6月から現職。家族は単身赴任の夫、娘、義父。