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NPO法人あすなろの会 理事長 鈴木大士氏


 介護施設運営や介護商品の販売を行うNPO法人あすなろの会理事長鈴木大士氏に介護の現状や課題などについて伺った。

ーーNPO法人あすなろの会ではどのような事業を展開していますか。

鈴木氏 介護保険が始まる前の平成9年、地域に高齢者や認知症の方々が集まる場として、米沢市矢来に今でいうデイサービス、ショートステイの機能を持った施設「ケアホームあすなろ」を開設したのが始まりです。介護保険がスタートしてからNPO法人の認可を頂き、その後は介護保険事業をメインとしてきました。現在は在宅サービス、訪問介護・入浴、居宅支援のほか、米沢市を中心に入所施設、グループホームが4か所あります。また、昨年4月からは南陽市に小規模多機能型介護福祉施設「グランデージあすなろ川樋」をオープンし、昨年、休止していたデイサービスも、今年5月には再開する予定です。

ーー置賜における介護の現状をどのようにご覧になりますか。

鈴木氏 介護保険はまだまだ画一的なサービスであり、一人ひとりのニーズにマッチングしていないと感じます。介護は利用者の生活の一部分として、これからは"生きる"をテーマに考えることで、もっと介護の幅は広がっていくようにも思えます。

 介護は、利用者だけでなく、介護に従事する人にとっても、どのような介護を目指していくのか、そして取り組んでいくのかということも、これからの課題だと思います。私たちも、利用者の人生をどのようにサポートしていくかという観点を持ち仕事をしていくことがこれからの介護をより良くする方法だと考えています。

 近年は、小規模多機能型と呼ばれる地域密着型サービスが新しく出てきました。主に認知症、高齢者の方々が、住み慣れた地域で生きることを考えたサービスですが、誰もが受けられる広域サービスや入所系の施設と違い、いかに住み慣れた地域で在宅での生活を継続できるかとの視点を持った施設となっています。

 登録定員も最大で25名がシェアする仕組みで、使いやすいと思います。今注目されているサービスであり、一つの施設で顔なじみのスタッフがご自宅に訪問したり、日中は通所、また泊まりに来られたりと、認知症になっても馴染みのある関係性の中で、生活を継続させることが狙いで、今後も増えていくと予想されます。利用者お一人お一人の生活スタイルとうまく組み合わせられれば本当に有効な施設になるはずです。しかし、ニーズが多様化しているので柔軟に対応できるかといった事業所としての課題はあると思います。

ーーNPO法人あすなろの会でが目指す介護の方向性とは。

鈴木氏 介護保険サービスが介護保険の中で留まってしまわないようにするというのがキーワードだと思っています。介護保険事業もサービス業であり、極端に言えば、サービスの内容の善し悪しを問わず、サービスを提供したら報酬が発生してしまいます。利用者にとって本当に重要なのはどのようなサービスを受けられるのかであり、私たちも何を提供することが求められているのかということに着目していかなければなりません。介護では、そのサービスの中身が問われているのです。

 私どもではホスピタリティー(相手を幸せにする思いやりの心、それを自身の幸せと感じる心)という観点を介護と言う仕事の中に、深く浸透させていけるように職員とともに学んでいます。ホスピタリティーを昇華していくことで、介護事業は利用者にサービスを提供するだけでなく、生活をイキイキとさせる様々なことができると考えております。

 特に入所系のサービスでは、直接的な介護サービスを提供するよりも、人として関わっている時間の方が長くなります。技術や知識だけを持っていても良いという訳ではありません。介護がメインではなく、ここで生活してよかったなと思ってもらえるように人生を輝かせるサービスを提供していければと思います。

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すずきたいし
 昭和55年米沢市生まれ。米沢中央高校、日本福祉大学を卒業後、置賜地域の介護施設に就職。平成21年にNPO法人あすなろの会、副理事長、24年から理事長に就任。