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NPO法人あすなろの会 理事長 鈴木大士氏


ーー核家族化、さらに今後は超少子高齢化に入り、担い手や施設不足など、介護そのものに問題点が出てくる恐れがあります。

鈴木氏 いま、老人が老人の介護をする"老老介護"や認知症の方が認知症の方を介護する"認認介護"という問題がクローズアップされています。これは全国的な問題であり、担い手という観点から考えると、介護のあり方をもう一度考え直すことが必要です。

 具体的には認知症の方が一人でも生きられる環境を整え、今ある地域を創造していくことが重要です。つまり、国やそれぞれの事業所が施設やサービスを拡充するのではなく、高齢者の方が安心して暮らせる環境をみんなで作っていくことが大切です。例えば、買い物に行く場合、交通事故の危険があり、職員がついていかなければ1人で行くことができません。しかし、自宅や施設から目的地まで全く車が通らないような一本道や同じ建物内で、買い物や通院などが行えるようにしてしまえば、誰もが1人で安心して暮らせる環境を今よりも推進できると考えます。

 いつも誰かとしか行動できないことは、高齢者の方にとっても息苦しいことですし、生活環境を整えることで高齢者や認知症の方が叶えられる夢が増えてきます。今のようにサービスを手厚くしたり、何から何まで寄り添うのではなく、高齢者の方が自由に行動できる環境づくりを目指すべきです。

 現在の介護は、ケアプランを作成していますが、「充実して生きる」という点では、まだまだ改善の余地があります。利用者の方にとって生きるを重点に考えたとき、もっと自由な生き方が選択できる機会を増やしてことが大事です。生活が困難になったから介護、保険を使うのではなく、利用者自身にとって自らが夢を持って生活してもらえるように、私どもも心がけています。

 利用者の方の夢を叶えられる介護事業所になることは、きっと生きる活力に繋がります。何よりも、70、80歳を超えても一人で生活したり、まだまだ元気な人もたくさんいらっしゃいます。そういった人の中には「社会の中で役割を果たしたい」と、生き甲斐を求めている方も多いのです。そのような方のための環境を整えることが求められています。超高齢化社会では、介護保険に留まらず、様々な壁を飛び越えることが必要なのではないでしょうか。誰もが暮らせる環境づくりが求められます。これは親の世代、そして自分たちの将来の生活にも直結することなのです。

ーー家族介護による家族の心身の負担が大きいようです。どのような対策が必要ですか。

鈴木氏 昔の生活を思い出してみると、地域の支えや助け合いがありました。しかし、今は人と人との繋がりや近所との交流など、コミュニティのあり方が変わってきました。その中で介護事業所が中核を担い、地域のプラットホームのような役割になっていかなければなりません。しかし、それを目指す上で、現在の課題として生活に焦点をあてると、介護保険サービスを補完するボランティアサービスや社会資源を充実し、活用できるツールが必要となります。私どもでも、介護保険とは別に、「役立ち隊」という有償ボランティアをさせていただいております。要介護者や障がい者の方々が低額の料金で通院や外出のお手伝いをさせて頂く移送サービスも行っております。その分、利用者の方の経済的負担が少なくできるようなサービスです。

 介護といった枠だけを広げていくのではなく、介護事業所が中心となりながら、大勢の人が集まれる場を作り、利用者の方のニーズを吸い上げ、マッチングさせることができればいいと考えています。なんと言っても地域のコミュニティがもっと深く、太くなることこそが、今の時代に最も必要なものと思っています。 

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すずきたいし
 昭和55年米沢市生まれ。米沢中央高校、日本福祉大学を卒業後、置賜地域の介護施設に就職。平成21年にNPO法人あすなろの会、副理事長、24年から理事長に就任。