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かねしめ水産(株)代表取締役社長 齋藤 隆夫氏


 昨年4月に米沢市総合卸売センター内で水産卸、加工を手がけるかねしめ水産(株)=米沢市中田町=の社長に就任した齋藤隆夫氏に抱負を伺った。

ーー御社は100年を越える歴史をお持ちですね。
齋藤氏 当社は明治36年現在の川西町に魚問屋として開業し、今年でちょうど110年を迎えました。長年、皆様より御ひいきを賜わり誠に有り難く思います。昭和31年には米沢市へ本社を移転しましたが、創業以来、一貫して水産物の卸売業として、全国で採れた魚を集め、小売り業者や飲食店に卸しています。その季節、場所でしかとれない魚もありますが、年間を通して数千種類の魚介類を取り扱っております。

 そのほかには、ギフト用や市販用として、魚の加工品製造を手がけております。今後も時代のニーズに合った商品提案や開発をしていきたいと思います。

ーー老舗の5代目新社長としての抱負をお願いします。

齋藤氏 110年の歴史はありますが、時代が大きく変わっても仕事内容は、まったくといっていいほど変わっていません。しかし、魚離れと言われる今こそ、変わるときであり、変わらざるを得ない状況にあります。

 魚に関わる我々は「品物を提供する」だけでなく、美味しい魚の食べ方を提案していくことで、魚の消費や食文化が広がっていくと考えています。そのためにも、インターネットといったソーシャルツールを活用し、幅広いお客様に、最高の食べ方で魚を味わって頂くことに努めていきたいですね。

 例えば、魚には旬というものがあります。その時期、その海域で採れたモノが一番脂がのっていて美味しいということがあります。海に囲まれた日本で、様々な種類の魚が漁獲され、焼く、煮る、蒸すといった多様な調理法がありますので、食を満足頂ける様々なご提案をしていきたいと思っています。

ーー水産加工業、販売における現状はいかがですか。

齋藤氏 海に面していない置賜地方ですが、技術の進歩で鮮魚の良い食材が手に入るようになっています。昔と比較しても消費量などは変わっていませんが、日本全国を見渡した場合、日本人の『魚離れ』が進んでいるのが現状です。これは食の多様化や共働きの夫婦の増加で、食事を作る時間が割けなくなり、手間をかけない料理にシフトしているのが背景にあると思います。

 小売店やスーパー、魚屋を見て見ますと、鮮魚を取り扱うエリアも縮小され、以前はアジやサバなどが、一匹のままで売られていましたが、現在は切り身が一般的になり、温めるだけの加工品や骨抜き、調理済み、刺身といった惣菜エリアに多種多様の魚が店頭に並ぶようになりました。また、刺し身・焼き物・煮物など、魚の種類に合わせた調理品が陳列されています。魚料理を広げるにはこのような加工品といったものが今後のカギになっていくと思います。

ーー魚ファンにメッセージをお願いします。

齋藤氏 私に取って、魚は今に至るまでの生きる糧となった大切なものです。種類も豊富にありますし、調理方法によっては全く違う味や食感にも変化します。いつも買う魚もいいのですが、"父親が魚を捌き、お子さんが食べる"といった、魚を通じて、家族の触れ合う時間も増やして頂ければ嬉しいですね。

 震災以降、放射線量や風評被害が取り上げられましたが、流通しているのは、しっかり検査され、安心安全を確認したものだけです。現在は、海外からの輸入も増えている上、漁師の高齢化もあり、何十年後には今みたいに食べられない時代が訪れるかもしれません。そうならないためにも日本の水産資源を守り、自給率向上を図り、自国で採れた魚を大切に食べて頂ければと思っています。

さいとうたかお
 昭和50年、米沢市生まれ。米沢興譲館高校、東北学院大学経済部卒業。平成9年に長野県の水産会社に入社、5年間修行した後、27歳の時にかねしめ水産㈱入社。平成24年4月に社長に就任。