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米沢繊維協議会 会長 近藤哲夫氏


 平成25年4月、米沢繊維協同組合連合会は「米沢繊維協議会」の新組織に移行し、その初代会長に近藤哲夫氏が就任した。会長としての抱負と米沢織の将来展望について伺った。

ーーこの4月から「米沢繊維協議会」の新組織に衣替えしました。

近藤氏 米沢織業界は、大正10年頃のピーク時は機屋が市内に680軒ほどありましたが、現在は十五分の一以下の41社になり、今年4月に発足した米沢繊維協議会への加盟企業は77社です。

 日本のどの業種もそうだと思いますが、今の仕事を次世代に引き継げるかどうかという大きな過渡期に来ています。後継者問題、時代のニーズ、製造コストの問題など、普通の経営ではじり貧になることは明らかです。今回の新組織は、米沢織の伝統や理念を大事にしながら、持続できる組織を目指しました。

ーー新会長としての抱負をお聞かせてください。

近藤氏 形は小さくなっても米沢織は米沢市の基幹産業であって、このまちに無くてはならない産業です。米沢織には、若手の後継者や従業員がいますので、その力を結集してしっかりと仕事と売上を確保し、このまちで今後も確固たる地位を維持していきたいですね。日本でもそれが可能な数少ない織物産地の一つだと理解しています。

 協議会で情報交換を図り、ビジネスチャンスを高め、技術の研鑽などを図りながら、一社一社が力を付けてしっかりと立っていくことが大事です。

ーー米沢織の強味をどう考え、今後改善すべき点はどこにあると考えますか。

近藤氏 強味は多品種小ロットへの対応ができることやスピード感のある仕事ぶりだと思います。また、ルイ・ヴィトンといった一流ブランドにも洋服生地を提供していますし、ノーベル賞表彰式の演壇の絹布を米沢織が製造したということも大いにPRできる内容です。

 一方で、着物地、洋服地など扱っている領域が広い分、「米沢織とは何か」という問いかけに、結城紬や大島紬のような明確なイメージが打ち出せていないのではないかという懸念もあります。

 「米沢織」という地域団体商標登録も行いましたが、さらに一層のブランド力アップのために、強味と弱みをしっかりと認識し、お客さまへの明確なPR戦略が必要だと思います。

ーー米沢織を紹介する場所として、米沢市大町に「おしゃれ館」がありますが、この活用についてはどのようにお考えですか。

近藤氏 お客さまに実際に米沢織を見て、手に取って頂き、試着体験をして頂く場所がおしゃれ館です。2階で米沢織の歴史をご覧頂き、1階でお買い物ができます。ただ、現在は自販機の設置のみですので、将来的には買い物をして頂いた後に簡単な飲食ができたり、体験コーナーなどの空間が設置できればと考えています。米沢織の発信基地であり、拠点だということを大事にして行かなければなりません。

ーー観光客や米沢市民が着物を着ることが日常的で、楽しくなるような仕掛けづくりも必要だと思いますが。

近藤氏 参考になるのが、「京都きものパスポート」です。きものを着ているとタクシー料金や喫茶店の料金が割引されたり、いろいろな特典が用意されているのが特色です。その実現のためには、商工会議所、観光物産協会、タクシー業界などとの連携が必要ですが、米沢織ならではの特色を打ち出すことができるのではないかと思います。

 来年は山形県がデスティネーションキャンペーンの年にあたり、米沢でもきものでのまち歩きや土日も含む工場見学への対応など、協議会としてどんなことが対応できるか、検討中です。お客さまが「訪ねてみたい米沢織」となるように、米沢織の業界全体が大いに門戸を拡げていきたいと思います。

こんどうてつお
 昭和36年、米沢市生まれ。米沢興譲館高校、京都工芸繊維大学卒業。京都市の織物卸会社に5年間勤務後、平成2年、帰郷。平成11年、米沢青年会議所理事長、平成16年、近賢織物(有)代表取締役社長。