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メキシコ便り①「メキシコの長いクリスマス」 遠藤滋哉

〜「聖レイジェス」の1月6日まで続くメキシコの長いクリスマスで、クリスマスを終えるメキシコ〜
                      遠藤滋哉(在メキシコシティー)

 2025年、メヒコ(メキシコ)から日本の皆様に「新年おめでとう」を申し上げます。青森県は驚異的な積雪を観測しているとのことですが、メヒコはさすがに雪はありません。日本では、今年は1月6日(月)が実質的な仕事始めですね!。メヒコは、1月2日(木)から銀行も通常業務でお正月気分はなくチョっと寂しいです。とは言っても、まだ旅行中の人も多く、学校は1月8日(水)が始業日なので街はまだ静かです。
1 1月6日は、聖レイジェス(Santo Reyes)と言われ、この日は、「東方の三賢人」(三博士)の故事に倣い、家族や職場でロスカ デ レイジェス「Rosca de Reyesというパン(ドライフルーツや粗目砂糖で飾られた楕円形の輪になったパン)」を親しい人たちと切り分けて食べる日となっています。
 メヒコの長いクリスマスで使用したクリスマス・ツリーや飾り付けを片付けるのは、この聖レイジェスのお祭りが終わってからです。前年12月16日のポサダ(Posada=ジョセフとマリアがイエス・キリストを生むための宿を乞う旅)から3週間と、なんとも長い期間のお祭りです。すさまじいほどのカトリックの宗教的行事でありますこと!。
 この三賢人の話は聖書に書かれていますが、「尊い神の子がお生まれになった!」と知らせるために、西方に輝く星を追って、東方の国から、象、駱駝、馬に乗って
イエス・キリストの生誕地ベツレヘム(Bethlehem)まで、お祝いの贈り物を届けにやって来るのですが、彼らがベツレヘムに着いたのが1月6日だったという故事に倣い、「Los Reyes Magos (Melchor, Gaspar, Baltasarの3人の王様)」のお祝いが1月5日の宵から始まり、子供たちへのプレゼント(オモチャ等)を売る夜店が明け方まで賑います。子供たちが枕元にサンタ("聖"=Santo サンタ=Santaは女性形)さんからの贈り物を楽しみに待つのは、正にこの「三賢人の日」なのです。
 ロスカ デ レイジェス(Rosca de Reyes)のパンの中には、"御子イエス・キリスト"の人形が隠れていて、当たった人は2月2日の「カンデラリアの日=聖燭祭」に "タマーレス"(=とうもろこしの粉をラードで煉って、その皮で包んだトウモロコシの蒸しパンで、甘いモノと辛いモノがある) と "アトレ"(=片栗粉のようなトウモロコシの澱粉で溶いたチョコ、またはイチゴ味の甘い飲み物)をその場に居た家族、友人たちに振舞う事になります。チョッと"ババ抜き"(=罰ゲーム)のようで、"御子"が当った人には、「今年1年幸運が訪れる」と云うのですが、当ると、皆困った顔になります。(自腹ですからね)直に喜びを表わす人は、天性の「良い人」なのでしょうね。
 "タマーレス" を気前よく皆んなに振舞えば、本当に幸せがやってくるかも知れません。ポサダ、降誕祭の祝宴に疲れたメヒコ人は新年会は殆どしません(日本でも新年会より忘年会の方が盛り上がりますよね!)。メヒコでは年始始業の時期に当たるこの聖レイジェスのお祭りが「新年会」代わりです。
 「御子が当たった社員にそっとポケットマネーで援助してあげるんだ!」と言っていた日本企業の支社長さんがおられました。(武士の情け)いい話です。
 さて、2025年はどんな年になるでしょうか。本年が皆様にとり、良い年になることをご祈念申し上げます。それではまた。ア・ディオス(さようなら=A Dios!=神の御許へ・・・)。
                        (2025年1月6日記)