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トップインタビュー 佐藤由美子氏

生活クラブやまがた生活協同組合
              理事長 佐藤由美子氏   

「目先や簡単便利ということではなく、次の世代に私たちが何を残していけるか」

yumikosato 平成28年6月4日に開催された生活クラブやまがた生活協同組合総代会で、理事長に就任した佐藤由美子氏に抱負などを聞いた。
    (取材は成澤礼夫米沢日報デジタル社長)

ーー佐藤理事長が生活協同組合(以下、生協)と関わるきっかけとなったのは何でしたか?

佐藤氏 私は米沢市職員として、学校給食の現場で食の安全・安心、地産地消を実践してきたことが背景にあげられます。自分の子供が生まれた時にアトピーだったので、タンパク質の変異が考えられた牛乳の超高温殺菌や皮膚への影響が懸念された合成洗剤の使用など、自分のできるところから変えたいと思ったのです。30年前に生協が低温殺菌の牛乳や洗剤として石けんを取り扱っていたので、生協の組合員になりました。長年、石けん運動をやってきて、いま米沢市内の学校給食現場は石けんだけで食器の洗浄しています。

ーー平成28年6月4日に開催された生活クラブやまがた生活協同組合総代会で、理事長に就任されました。理事長としての抱負をお聞かせください。

佐藤氏 米沢市すこやかセンターで開催された総代会で理事長に就任させて頂きました。私は前理事長さんのように若くてステキで、都会的なセンスや知識は持ち合わせておりません。また理事長としては無いものばかりです。ただ私に一つあるとすれば、これまで40年の生協歴でしょうか。体の中に入れても安全な食べ物、安心して暮らせる地域づくりを組合員の皆さんと一緒にやって行きたいと考えております。どうぞ、宜しくお願いします。

ーー安全、安心、環境にやさしい食べ物を提供するという理念は、今の時代に相応しいあり方ですが、それを実践していくには難しい課題も多いと思いますが。

佐藤氏 いまの資本主義経済の中では、安ければ良いという風潮があり、本物の食べ物というものがどんどん見えなくなってきていると感じます。私は人が生きていく上では、ちゃんと土に根ざした食べ物でなければばらないと考えていますが、実際には多くの食べ物が素材そのものを食するのではなく、肉でも魚でも一旦工場に入り、そこで化学調味料や保存料などで加工され、食卓に上がってきています。
「化学調味料や合成洗剤は売りません」ということを明確にうたっていたのが米沢生協(生活クラブやまがた生活協同組合の前身)でした。最近では、「遺伝子組換えの食べ物は売りません」という方針も加わり、組合員に支持されています。
「食の安全」とよくいわれますが、現在の世の中は、「何が安全なのか分からない状態」のものを口にする機会が増えました。スーパーの店舗にある食品は、裏の表示を見ても分からない部分が多いのです。きちっと放射線、遺伝子組換えに対しての自主検査を行い、生産者と安全・安心なシステムが確立して、安心して口にできるのが、生活クラブやまがたの一番のメリットだと思います。

ーーその意味では生産者との連携が大事ですね。

佐藤氏 生活クラブの活動は安全・安心をキーワードに、多くの組合員が買う力を集めて生産者は化学肥料や農薬を使わずに、持続可能な生産ができるよう適正価格で連携しています。私たちの台所からできる社会運動だと思います。目先や簡単便利ということではなく、次の世代に私たちが何を残していけるかということだと思います。その為には台所を預かる女性の視点で、きちんと生産してくれる生産者にお金を回していくことが大事ではないかと思います。

ーー米沢と山形の生協が合併して、生活クラブやまがた生活協同組合ができました。現況はいかがですか?

佐藤氏 少子高齢化、人口減少という社会構造の変化は、生活クラブやまがたの組合活動にも少なからず変化をもたらしています。組合員が高齢化する一方で、新しい人たちに生協活動にどのように加わって頂くか、普段、コマーシャル化された食品を食べている人やあまり疑問を抱かずに食べている人に、生活クラブの活動をどのように伝えるていくか、難しい課題があります。子育て世代が、どのように安全・安心な食べ物を子供に食べさせるか悩んでいたり、不安感を抱えている方にきちんと情報を提供して、より多くの人に生活クラブの取組みが広がっていくことを期待しています。

ーー宅配事業では、班配達から個配へと変わってきているとお聞きします。組合員のニーズをどのように考えていますか。

佐藤氏 昨今、生活クラブやまがたでも班配達から個配へのニーズが高まっています。昔は班主体でやっていましたから、注文書も班に一つで班員で回覧しチラシの量も少なくて済み、品物が届くと夕方に集まり、皆で注文書を読む人、分ける人の協同作業を行っていました。例えば、卵も一箱の中に30〜40個入っていて皆でそれを分けるという具合です。同時にお金もそこで回収し、そこでいろんな人の繋がりができました。いまは、社会構造や意識の変化からお金を出してサービスを受けるという風に考え方が変わったせいか、都会に始まった個配は地方にも波が押し寄せてきました。組合員のニーズを踏まえつつ、「自分たちでできるところは自分たちで」という生協の原点、自治の部分も大切にしてまいりたいと思います。

ーー生活クラブやまがた生活協同組合は、食材の共同購入のほか、米沢市でグループホーム、デーサービス、グループリビングという福祉事業を展開していますが、今後の見通しは? 

佐藤氏 福祉事業は、生協としては全国に先駆けて取組み注目されていて、しばしば見学に来られています。
 生活クラブ連合会は、いま「FEC自給圏」をうたっています。FECとは、Food(食べ物)、Energy(エネルギー)、Care(ケア)の略です。とりわけ、エネルギーの部分では、「生活クラブエナジー」という組織を作り、千葉県、埼玉県で風力や太陽光での再生可能な自然エネルギーを作っています。今後、山形県庄内地方の遊佐で風力発電を稼働させる予定です。
 今年4月から電力の小売りが自由化されました。生活クラブやまがたでもその自然エネルギー由来の電力を共同購入できます。現在、480世帯分の募集を行っていますので、是非ご検討下さい。

ーー生活クラブやまがた生活協同組合として、今後の事業展開は?

佐藤氏 現在、生活クラブやまがたは、組合員が直接購入できる店舗は持っていません。生鮮品の場合、売れ残りとなって廃棄に繋がるというリスクがあるからです。ただ、組合員からすれば現物を手にとって安心できる部分もありますね。現在、米沢市通町にある配送センターには、少々置いてある物もあります。ただ、中心部から離れていることもあって、何とかしたいねと皆で話しています。
 現在のデーサービスのある場所の空き地を有効活用しようというアイデアがあり、生活クラブの食べ物やカフェ的なもの、会議室、学童保育や福祉の部分を含めた、何らかの多機能施設をという声が出ていますから、皆さんにお図りしながら検討をしていきたいと考えています。

ーー好きな言葉(座右の銘)は?

佐藤氏 「前向き、肯定的」ですね。調理師の学習会があった際に、牧師であり、またカウンセラーとしての長い経験をお持ちの米沢興譲教会田中信生牧師のお話を初めて伺い、目から鱗が落ちました。以来、私の考え方が劇的に変わりました。私が若い頃は右肩上がりの経済成長の時代であり、未来は明るいという希望に溢れていました。しかし、いまの時代は不確実性の時代であり、若い人が先が見えなくて不安な時代を生きています。
 自分の「幸・不幸」を決めるのは、自分自身だと思います。人を変える必要はなく、自分が変わりさえすれば良いのです。理事長として、前向き、肯定的に、明るく元気に頑張りたいと思います。

〈略歴〉
 昭和28年、米沢市生まれ。昭和47年3月、山形県立置賜農業高校生活科卒業。同年4月、米沢市職員採用(学校給食調理員)。米沢市立三沢東部小学校を皮切りに、市内の小学校、保育園で調理師として勤務。平成26年3月、定年退職。同26年6月、生活クラブやまがた生活協同組合理事、同28年6月、同理事長就任。(一社)置賜自給圏構想常務理事。

(2016年7月13日19:45配信)