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最先端技術で誰もが幸せになる介護の未来へ講演会

care16 山形大学先進的研究拠点の一つとして、平成26年度に認定された有機ICTシステム研究拠点は、有機エレクトロニクスと情報通信技術を用いて、高齢化に伴い大きな社会問題になっている医療費・介護費の低減と、活気ある地域社会の実現に向けて新しい「ヘルスケアシステム」の研究開発に取り組んでおり、社会的課題を解決し、新しい顧客価値を創造するビジネスモデル・イノベーションを起こそうと、異分野の研究者、企業などが参加しています。
 10月20日、東京第一ホテル米沢で、「誰もが幸せになる介護の未来!最先端技術への期待」と題して、介護福祉分野で活躍する講師を招き、介護する側、介護される側の誰もが幸せになる介護の未來を考えようと講演会とパネルディスカッションが開催されました。主催したのは、山形大学有機ICTシステム研究拠点(共催:山形大学国際事業化研究センター)です。
 はじめに、日本介護支援専門員協会常任理事の助川未枝保氏が『最先端技術で介護が3Kでなくなる!』と題して基調講演を行いました。この中で助川氏は、「きつい、汚い、給料が安い」、「危険、休暇が少ない、かっこ悪い」の3Kと言われるものが、「介護ロボットの活用、排せつ処理装置、処遇改善の動き」、「介護ロボット、ワークシェア、地元のエース」と新3Kに変わることを説明しました。介護現場で、膨大な時間を要するケア内容などの記録を音声入力、タッチパネル方式などの介護ソフトを導入することで、簡単に入力ができ、利用者をチームで支える体制作りに役立つとしました。介護では個別ケアが求められているものの、車いすなどの福祉用具の個別化が遅れており、その原因に車いすが施設備品として捉えられているからだとしました。利用者の自立支援のために、多様な利用者に適合し、精度の高い、頻繁な用具変更に対応ができ、最新の福祉用具が利用可能、などが大切な視点であることを述べました。
 続く基調講演では、NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン理事長の牧野史子氏が『介護者が地域で孤立しないために 〜拡がるカフェという拠点〜』をテーマに、主に家族で介護を担う人(ケアラー)の現状とその支援方法について紹介しました。
 牧野氏は政府が打ち出した『介護離職ゼロにつながる緊急対策』を中身を紹介し、日本の介護を取り巻く現状として、平成26年に65歳以上の高齢者人口が3,300万人となり、要介護認定者数は606万人(平成27年3月)となっている現状を示し、高齢者のいる世帯で3世代世帯が平成元年の40.7%から平成27年3月には13.2%まで減少し、親と未婚の子のみ世帯が平成元年の11.7%から同19.8%へ増えていることや介護者(ケアラー)の7割以上が家族・親族である環境が述べられました。
 さらに介護者の2人に1人が身体の不調、4人に1人強がこころの不調、4〜5人に1人が深夜の睡眠が中断されている現状が報告され、介護者は孤立しがちであるという問題も浮き彫りになりました。とりわけ、認知症の介護者はその症状への対応や介護自体の辛さ、不安や孤立感に苦悩していると述べ、この状況が進むと虐待・殺人などの事件に発展する可能性があるため、孤立を防ぐには介護者も要介護者も同時に社会参加ができる環境が必要だとしました。介護者を孤立させないために、地域で介護者を受けとめ居場所(カフェや会)を作ることが大事で、牧野氏は、イギリスのケアラーズセンターや、アラジンが地域の支えあい活動として店舗型で始めたケララーズカフェを写真で紹介し、「介護者の都合で来られる、相談できる、地域情報がある、仲間同士で話せる場がある、本人と一緒に行ける、市民同士の支えあいが生まれる」、などのケアラーズカフェならではの機能を発揮できる。最後に、「ケアの問題はすべての国民の問題です」と述べました。
 引き続き、助川氏、牧野氏に加え、パラマウントベッド株式会社技術開発本部研究開発部長、山形大学客員教授の長岡浩氏、山形大学大学院理工学研究科准教授 応用生命システム工学専攻の横山道央氏、山形大学国際事業化研究センター長の今野千保氏がモデレーターになり、『介護の未来を創るまちと社会』をテーマにパネルディスカションが行われました。

(2016年10月24日22:15配信)