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特集 3つでキューブになるピラミッドパッケージ


置賜話題の東西南北

「3つでキューブになるピラミッドパッケージ」
        ー置賜内・外の企業連携で世界の頂点にー

 1968年に設立され、包装分野における唯一の国際的組織である世界包装機構(以下WPO、本部:スエーデン、世界80か国加盟)が主催する「世界パッケージコンテスト」で、高畠町、米沢市、東京(2社)の計4社共同開発による菓子用パッケージ「3つでキューブになるピラミッドパッケージ」が、昨年11月17日、オーストリア・ウィーンで開催されたWPO主催の選考委員会で「2017ワールドスター賞」に選ばれた。
 ワールドスター賞受賞に至る経緯、今年5月にドイツ・デュッセルドルフでの表彰式に出席した東北物流株式会社、前山健二社長に国際包装機械・資材見本市(以下インターパック)の模様などを取材した。(取材は成澤礼夫米沢日報デジタル社長)

□斬新なアイディアが詰まったピラミッドパッケージ

 年末も押し迫る昨年12月28日、高畠町にある株式会社セゾンファクトリーで、記者会見が行われた。
cube1 株式会社セゾンファクトリー(齋藤雅一社長、高畠町)、東北物流株式会社(前山健二社長、米沢市)、王子産業資材マネジメント株式会社(東京都)の3社が企画し、王子パッケージング株式会社(東京都)が製造した「3つでキューブになるピラミッドパッケージ」(3 pyramid packages for 1 cube)が 「2017ワールドスター賞」決定に関することだった。(写真1=記者会見 平成28年12月28日)
 「3つでキューブになるピラミッドパッケージ」は、立方体を三等分割した四角錐形状のパッケージで、キューブの一辺は長さが8センチメートル。ちょうど、片方の手の平にキューブが載っかる感じである。
 WPOが主催する包装技術の分野で最も権威のあるコンテストが「世界パッケージコンテスト」で、世界の優れたパッケージとその技術を啓蒙、普及することを目的に毎年1回開催されている。その最高賞が「ワールドスター賞」である。
 「世界パッケージコンテスト」は、各国や地域で開催されるパッケージコンテストでの入賞作品のみが応募でき、日本では社団法人日本包装技術協会主催の「日本パッケージコンテスト」入賞作品が該当する。
 飲料、電子機器、食品包装(フード)、健康と美容、生活用品、贅沢品、医療、販促品、輸送箱、その他の計10部門で、内容物の保護、ハンドリング、充填、開閉の容易さ、セールスアピール、グラフィックデザイン、品質、経済性、コスト面、環境保護、リサイクル適正などの10項目で採点され、一定以上の得点のものに「ワールドスター賞」が贈られる。
 この「3つでキューブになるピラミッドパッケージ」は、2016年日本パッケージコンテストで「菓子包装部門賞」を受賞し、世界パッケージコンテストの「食品包装(フード)」部門にエントリーする資格を得て応募した。
 その結果、世界から集まった74エントリーの中から、「3つでキューブになるピラミッドパッケージ」を含む43作品が「2017ワールドスター賞」に選ばれた。「食品包装(フード)」部門では、日本からのエントリー中唯一の受賞となった。まさに世界の頂点に立った瞬間である。

□置賜内・外の企業連携で成し得たパッケージ開発

cube2 同日の記者会見では、はじめに東北物流株式会社の前山健二社長が、WPOの組織や「2017ワールドスター賞」の概要、受賞に至った経緯などを説明し、東北物流株式会社が1988年創業の株式会社セゾンファクトリーのパッケージ部門を創業以来担ってきたことや、株式会社セゾンファクトリーが2014年にフリーズドドライした「チョコいちご」、2015年に「プルーン」「ホオズキ」(ゴールドベリー)の商品企画に際して、株式会社セゾンファクトリー、東北物流株式会社、王子産業資材マネジメント株式会社の3社が連携して、その包装パッケージの企画開発に当たったことなど、これまでの経緯などを説明した。(写真2=齋藤雅一社長(左)と前山健二社長 平成28年12月28日)
 このピラミッドパッケージのアイディアは、3社の打ち合わせの中で出てきたもので、「組み合わせて楽しめる」というコンセプトを全面に打ち出すことにした。株式会社セゾンファクトリーでは、商品企画部に所属する20代半ばの女性スタッフ3名で特別チームを作り、パッケージ開発に当たったという。株式会社セゾンファクトリーの齋藤雅一社長は受賞の知らせを聞いて、「商品企画から入り、こだわりと気持ちを込めて、各社連携の中での受賞となり嬉しい気持ちです」と述べた。

□吉村県知事に「2017ワールドスター賞」受賞報告

 年が明けて、今年2月8日、株式会社セゾンファクトリーの齋藤社長、東北物流株式会社の前山社長らは、山形県庁に吉村美栄子知事を訪れ、「2017ワールドスター賞」に決定したことの報告を行った。この席には、中川勝米沢市長も同席し、米沢市として大きな期待と協力の姿勢を示した。
 吉村知事は、ピラミッドパッケージを手に取りながら、世界一になった栄誉を称え、勧められると「いちごチョコ」を試食して「おいしい」と述べ、ピラミッドパッケージの中身の味の方にも感動していた。

□金融や商業などの街デュッセルドルフ

 インターパックが今年5月3日から5月10日までドイツのデュッセルドルフで開催された。5月3日、前山社長と奥様の久子さんは、成田空港を飛び立った。
 飛行機にはインターパック関係者が多く搭乗していたようだ。ロシア上空を通過する全日空直航便で、それでも12時間かかって同日午後4時(現地時間)にデュッセルドルフ空港に到着した。空港に着いてみると、5月上旬だったが気温が低く、薄いコートとセーターがないと外を歩けないくらい寒さ。
 最近、ヨーロッパ各地でテロが多発し、前山社長は空港の警備はものすごく厳しいかと思ったが、意外に成田空港と同程度だったという。出発前に頼んでいた日本人ガイドが空港で出迎えてくれ、デュッセルドルフ駅近くのレオナルドホテルまで移動し、チェックインを済ませた。ガイドは「よくホテルが予約できましたね」と話したそうだが、インターパック期間中は市内のホテルはほぼ満室で、予約が難しいという。参加者の中にはデュッセルドルフ市内を諦めて、近郊のケルンに宿泊した人もいたという。前山社長は、「ワールドスター賞」が決定した段階で表彰式に出席することを決めたおかげで、「早くホテルの予約を手配していたのが幸いしました」と話した。
 デュッセルドルフはライン川に沿った古風な感じのする石畳の街で、人口は約60万人、国際ハブ空港があり、ヨーロッパ各地と結ばれている。またヨーロッパの鉄道は極めて発達しており、国際都市間を走る特急列車(ICT)も便利な交通機関である。
 デュッセルドルフはまた金融や商業などの街で、世界中の企業が支社や支店を置いている。日本人も商社マンやその家族を中心に5千人程度住んでおり、日本総領事館が置かれている。このことからもドイツの中で経済的な中心地として重要な位置にあることが理解できる。日本人が多いことや日本食ブームも手伝って、市内にはラーメン店、寿司店など、数多くの日本食レストランがあり、前山社長は食事の面では不自由しなかったという。

□インターパックで表彰式に臨んだ前山社長ら

cube3 5月4日、前山社長夫妻は王子産業資材マネジメント株式会社の青木裕氏と合流して、国際包装機械・資材見本市(インターパック)と表彰式が行われるメッセ デュッセルドルフを訪れた。ホテルから車で約20分の距離にある。年間を通じて国際見本市が行われ、日本の幕張メッセや東京ビックサイトの3倍くらいはありそうな広大な敷地で、敷地内をバスが走っていた。面白いことに、日本の人力車のようなもので回っている人も見かけた。(写真3=インターパック会場メッセ デュッセルドルフ)

cube4 インターパックは、3年に一度、ここデュッセルドルフか、アメリカのシカゴで開催されている。
 今年のデュッセルドルフでのインターパックは、5月4日から5月10日まで開催された。前山社長らは、午前10時に会場に入り、午後4時の表彰式が開催されるまで会場内を見て回った。 前山社長は、デュッセルドルフでの見本市は、18ものホールを使っての大展示で、これまでに見たことのない梱包材などが興味を引い
たと述べている。(写真4=インターパック展示会場メッセ デュッセルドルフ)
 表彰式は200〜300人が入るホールで行われた。「2017ワールドスター賞」受賞者は、カテゴリーや国別で座席配置が決まっていた。2年連続受賞のTOTOさん、向かい側の席には三菱化成さん、ヤマハ発動機さんなどが座っていた。
 表彰式では、はじめにWPO会長の挨拶、続いて長年、業界に功労のあった方に表彰状が授与された。続いて、「2017ワールドスター賞」の選考委員による講評が行われた。
cube5 いよいよ、前山社長ら表彰者の名前が呼ばれ、段上でWPO会長から表彰状と受賞バッチを受け取り、カメラに向かって会長と記念写真を撮った。受賞者の表彰は次々と手際よく行われていく。およそ1時間で表彰式は終了した。(写真5=2017ワールドスター賞表彰式 メッセ デュッセルドルフ)



cube6 午後6時からは懇親会が行われ、シェフの格好をしたエンターテイナーが現れて、会場を和ませた。ビュッフェスタイルの食事は、肉を中心とした美味しいドイツ料理が出され、華やかな雰囲気の一時だった。午後8時に懇親会が終了して、前山社長らはホテルに戻り、その日の日程を終えた。まずは、今回の訪問の主目的を無事に終えたことになる。(写真6=左から、トーマス.L.シュナイダーWPO会長、前山社長、王子産業資材マネジメント株式会社青木裕氏)




□頑なに守るドイツの街並みガムやタバコのポイ捨て

 表彰式を終えた前山夫妻は、翌日から観光に出かけた。この日はドライバー兼観光カイドとして、現地に何十年も住んでいるという日本人ガイドをお願いした。まずはデュッセルドルフの南方に位置するケルンを訪れた。ケルンといえば大聖堂が有名である。大聖堂の内部は天井が高く、ステンドグラスが美しい。入場料は不要だったが、大聖堂入口に献金箱が置いてあった。アウトバーンを飛ばしてベルギー国境まで行った。
 次の日の5月6日は帰国日だったことから、半日、デュッセルドルフの街中を徒歩で散策した。
 この日のガイドは、デュッセルドルフ高等裁判所の日本語の法廷通訳をされている人だった。美術館に入ると、こちらも入場料は無料で、ここにも献金箱が置いてあった。
cube7 前山社長の奥様のリクエストで、生地を売っている店に入った。ヨーロッパ調の素敵な文様の生地が置いてある。お菓子屋さんのショーウインドウには、珍しい形をしたパッケージを使った商品が所狭しと並べてあった。(写真7=土曜日夜、街中では大勢の人々で賑わうデュッセルドルフ)



 前山社長がデュッセルドルフの街を歩いて気づいたことは、道路の至る所に、ガムやタバコの吸殻がポイ捨てされていることだった。日本ではまず見かけない風景である。25年前に、前山社長が新婚旅行で訪れたフランスやスイスの美しい景観を思い出して、ヨーロッパはどこもかしこも綺麗なイメージを抱いていたが、デュッセルドルフでは、それが見事に裏切られた感がした。それがドイツ人によるものなのか、中東やアフリカなどから多くの移民を受け入れているからなのか、それはわからない。
 ただ、街並みの景観は何百年前と同じ古い様式を頑なに守っていると感じた。先の世界大戦でドイツは連合国による空爆などで、徹底的に破壊されたが見事に街並みを復興した様は、敬意を表したい気持ちになった。

□受賞を機に、新たなステージへの決意

 前山社長は5月8日に帰国して、すぐにお世話になった中川勝米沢市長、置賜総合支庁経済部に挨拶に訪れた。
 今回の受賞を通して、改めて前山社長が感じることは、単独企業としてはノウハウがなくても、お互いの強みを出し合う企業連携を図ることで、厚い壁も破ることができることを体感したことだ。そして世界一という頂点に立った今、前山社長自身の視野の広がりや、やればできるという自信とさらなるやる気にも繋がった。それは前山社長のみならず、東北物流株式会社に働く全社員に浸透することとなった。
 前山社長にとっては、より付加価値の高いパッケージを開発への次のチャレンジが始まった。それは今年の「日本パッケージコンテスト」に新しいパッケージをエントリーしたことでも明らかだ。
 「2017ワールドスター賞」受賞を機に注目される企業に成長した。行政や商工会議所等、前山社長らの動きに期待が集まる。この8月9日には、米沢、福島両商工会議所の商業、食品部会交流会において前山社長が講演する。
 今、前山社長が新たなステージに向かうその心は、「お客様に一番近い会社になろう」。お客様の悩みや困っていることに対して、斬新な提案が出せる会社にしていきたいと決意を新たにしている。(米沢日報デジタル新聞版 平成29年8月4日号より)

※「米沢日報デジタル」で関連動画ニュースを配信中

(2017年8月16日16:45配信)