newtitle



画像04が表示されない

竹田 歴史講座
米沢日報元旦号PR

▲トップページへ戻る

(仮称)栗子山風力発電事業説明会、米沢市で8月4日・5日開催へ

〜JR東日本エネルギー開発(株)計画に反対署名6,500筆〜

1 JR東日本エネルギー開発株式会社(東京都千代田区)が計画する「(仮称)栗子山風力発電事業」に関して、8月4日・5日の両日、米沢市民に対して計画概要の説明会が開催される。「米沢の子供の未来と豊かな自然を考える会」(高橋ひろみ代表)は、「風力発電」に関する学習会を米沢市内各所で開催し、反対の署名活動を行ってきた。種々の疑問点に同社はどう回答するかが注目される。
(写真右=「風力発電」学習会 令和6年7月28日 伝国の杜)

 JR東日本エネルギー開発株式会社は、このほど説明会開催に関するチラシを新聞折込した。同社の事業は、山形県や米沢市の二酸化炭素排出実質ゼロを目指す取り組みに合わせて、風状況に恵まれた栗子山地域に、風力発電機を設置して再生可能エネルギーを得ようとするもので、発電機の羽の直径は136メートル、羽の最上部は高さ168メートル、栗子山南部の山稜を中心とした地域に計10機の設置を計画している。発電規模は最大3万4,000kWで、計画では来年10月に工事を始め、2029年3月の運転開始を予定している。
 「米沢の子供の未来と豊かな自然を考える会」(高橋ひろみ代表)は、昨年11月に、市内の女性5人で結成した会で、同計画に対して①イヌワシやクマタカといった絶滅危惧種の生息地であり、バードストライク(風車への衝突)の可能性②山の樹木を切り開く事で、クマやカモシカなどの野生動物が追いやられ、獣害被害の増加や他の動植物などの生態系の破壊③風力発電施設や作業道の建設は、山の荒廃や土壌のかく乱につながり、土砂崩れや沢への流出による川への汚濁流出の心配④風車の騒音被害、超低周波の影響で健康被害の影響は、置賜地域全域に及ぶ恐れがある、などの理由から(仮称)栗子山風力発電事業建設の白紙撤回を求めている。
 高橋代表は、今年2月28日に米沢市議会議員に対して、プレゼンテーションを行ったほか、春からは米沢市内で「風力発電」学習会をこれまで10数回にわたり実施、プレンテーションや署名活動、反対の幟旗の掲示などに取り組んできた。
 5月8日、同会は(仮称)栗子山風力発電施設建設白紙撤回の署名1,157筆を近藤洋介米沢市長に提出し、その段階での署名簿の累計は4895筆となった。米沢市はこの時は署名簿提出に関して、報道関係者を入れない非公開の形をとった。
 米沢市は、5月10日、環境影響評価準備書(5段階中の3段階)に対する意見書を吉村美栄子山形県知事宛に提出し、5月13日、記者会見を開き、「(市民から寄せられた)これらの意見を真摯に受け止め、適切に反映させることができない場合は、本事業計画について米沢市は是認しない可能性がある点に十分留意すること」と述べている。
 近藤市長は、提出された約4,900人の反対署名に対して、「多くの人が懸念している。(議会での)全員協議会においても景観の心配が出され、幾つかの懸念材料がある」と受け止めを述べた。さらに同会は、6月27日、山形県庁に白紙撤回を求める署名簿(第二次分署名簿累計6,100筆)と、山形県および環境影響評価審査会への要望書を提出した。
   〜・〜・〜・〜・〜・〜
 7月28日、伝国の杜で行われた学習会には、約20名が参加した。高橋代表は、風力発電施設の立地について、地質、土砂災害、河川への影響、栗子トンネル上に施設ができる、風車の騒音や低周波、の5つの問題点をあげた。
 特に、環境影響評価方法書に対する山形県知事意見には、事業計画について、「事業実施想定区域は、土地の改変に伴う土砂災害の発生が懸念されることから、現地の地質の状況を把握し、事業計画の検討を行うこと」と記載があるが、高橋さんは、「地質の状況把握も、事業計画の検討もしているとはいえない」と述べた。さらに、山形県再生可能エネルギー活用可能性調査報告書では、風力発電導入に係る立地制約の中で、「標高1,000m以上では開発が困難」、「最高傾斜角20度以上では開発が困難」、「年間積雪深100㎝以上では建設や維持管理が困難」としているが、そのいずれにも該当することを指摘した。
 また米沢市景観計画では、高さ20mを超える電気供給又は電気通信のための工作物、開発行為では、3,000㎡を超えるものについては、届出対象行為となるとした。
 最後に米沢市内各所から風車が建設された場合に見えるモンタージュ写真を示した。
 (仮称)栗子山風力発電事業計画に関しては、昨年9月1日号の「広報よねざわ」に、「環境影響評価準備書の縦覧」が9月1日から10月2日まで市役所環境生活課で実施することや、説明会を9月9日に、板谷集会所と刈安赤浜集会所の2カ所で行うこと、意見書提出が9月1日から10月16日まで受け付けることが掲載された。
 しかし、この情報の意味や重要性が果たして市民にどこまで伝わったかは疑問で、これまで十分な情報が提供されずに、計画の第3段階である準備書(配慮書、方法書、準備書と進む)まで進んでしまったというのが実態ではないかと考えられる。
 (仮称)栗子山風力発電事業説明会の日時は、8月4日(日)15時〜17時、8月5日(月)が18時〜20時に、米沢市市民文化会館(米沢市中央1)で行われる。申込みは不要、2日間ともに同じ内容で開催される。

(2024年8月2日号米沢日報デジタル「新聞版」掲載済)