JR東日本エネルギー開発株式会社(松本義弘代表取締役社長、東京都千代田区)は、8月4日及び8月5日、同社が米沢市に計画する(仮称)栗子山風力発電事業に関して、米沢市民を対象とした住民説明会を米沢市市民文化会館において開催した。
(写真右=記者会見を行う近藤洋介米沢市長、8月23日)
翌日となる8月6日、近藤洋介米沢市長は、同社に対して「(仮称)栗子山風力発電事業に関する市民説明について(依頼)」と題して、希望する市民を対象とした追加の説明会若しくは意見交換会を早急に開催し、十分な説明責任を果たすことや、事業計画に係わる対応方法等について、具体的かつわかりやすい形で説明することを求めた。さらに参加者から要望のあった環境影響調査準備書の公開の検討、8月4日及び8月5日に開催した事業説明会と希望する市民を対象とした追加の説明会若しくは意見交換会の議事録について、個人情報が特定されない形での公開を検討することを求めた。
8月23日に開催された米沢市長定例記者会見の中で、近藤市長は同社に追加の説明会を求めるに至った経緯に関して「米沢市長名でJR東日本エネルギー開発株式会社に対して市民を対象とした説明会の開催を要請し、8月4日と5日に開催された。環境影響評価などに寄せられた質問や意見に対する回答、特に多くの声があった騒音、低周波音、景観など、特に詳しく説明されたと認識しているが、参加者に対してわかりやすい説明であったかについては多くの疑問が残る内容だった。具体的な質問による懸念に対して、十分に応えるような内容になっていないケース、的確に答えていないと思われるケースが散見された。市民から要望のあった議事録の公開、加えて環境影響調査準備書の公開に対しても会社側は否定的な答えだった。こうしたことを踏まえて要望を行った。」と依頼書を送付した理由を述べた。
同社からは「8月6日の要望に対して検討する」という答えはあったが、「具体的にどうするのかということについては定例記者会見時点でもない」と述べ、8月22日に「早急に回答を示して欲しい」と再度要求したことを明らかにした。
また現時点の米沢市の考え方やスタンスは、「事業者は環境アセスメント法、環境影響評価法に基づく環境影響評価の手続きを数年前から進めているが、事業の妥当性については関係者からの意見、または地元自治体、具体的には県が意見書を出し、この意見書を踏まえて電気事業法を所管している経済産業省が環境省の意見を踏まえて決定する権限がある。米沢市はその手続きを見守るというのが基本的な考え方」と述べた。
一方、令和6年5月10日に山形県知事に提出した市の意見書では、「地元や地域の意見を真摯に受け止めて、事業者が適切に反映できない場合は、本事業計画に対して米沢市では是認しないという可能性がある」ことに十分留意をしていただきたいとした。我々の意見、要望が十分に認められない場合は、「法的な権限ではないが、米沢市として事業の中止を求めることも想定している」というのが現在の米沢市の立場とした。
ただ一般論として、「事業者の活動を制限する場合、公共の利益を確保する相当の理由が必要」とも述べ、環境、景観への配慮、地域社会との調和に関する制限はこうした相当な公共の利益を守るために制限する場合は、きちんとした手続きを経て行わなければならないと考えているとした。
近藤市長は、「米沢市のこうした要望に対して、来週早々(8月26日)にも(同社の)責任者が意見を持ってくるということなのでまずはそれを受け止める」と現在の状況を説明した。その際は非公開だが、市がその意見をもとにこのような方向で行くと何らかの判断をした時に説明を行うと述べた。