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竹田 歴史講座

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安部義彦コレクション展「昔の夜着と藍染め展」長井市


 

 元長井市立長井南中学校校長で、現在、長井市文化財保護協会顧問を務める安部義彦さん(83歳)が所蔵する夜着、枕、こたつなどを展示した「昔の夜着と藍染め展」が、10月5日から旧長井小学校ギャラリー停車場で開催されています。
 夜着(よぎ)は、袖と襟がついた着物の形をした掛け布団で、かいまき(貝巻)とも呼ばれ、大型のものは特に「大夜着」と呼ばれています。現代は長方形の寝具が使われていますが、夜着は戦前まで使用されていました。会場には最大で横幅が1.6メートル、丈が2メートルもある大夜着が30点ほど展示されています。
 安部さんは、若い時から工芸品や民芸品に興味を持ち、夜着のデザインの素晴らしさや色の美しさに魅せられて30年前から収集を始めました。安部さんの母の実家は、南陽市で染屋をしており、安部さんは小さい頃からその工場を見て、藍染めに使用する藍亀に興味を持ったといいます。
 安部さんが収集した大夜着は、地元長井で地主、肝煎、庄屋といった有力者の家で使われていたもので、家紋や松竹梅、鶴亀、若松といった目出度い絵が描かれています。それは生命力に溢れ、子供が育ち、家の繁栄を願う気持ちが投影されています。また大夜着は冬の寒さに耐えられるよう内部に綿が沢山詰められており、そのため10キログラムを超えるものもあり、押し潰されるような重量感があります。
 長井市のあら町にあった越後屋の古文書には、大阪の商人扇屋弥平衛から出された荷物目録が残されてあり、上方から木綿、夜着、布団類を大量に購入し、それらを最上川舟運で長井まで運びました。
 夜着で使用している藍染めの原料は、たてあいという植物の葉っぱを乾燥させた藍餅です。昔から藍染めは、庶民の色として親しまれ、布団地、風呂敷、仕事着、のれんなどに使用されてきました。また虫食いに強く長持ちし、型染めや絞ったり、あらゆる技を使って染め上げられました。
 いま夜着はほとんどが廃棄されてしまい、長井市ではわずかしか残っていません。安部さんは「展示しているものは貴重な文化財であり、大切に保存していきたい」と述べています。夜着を通して、昔の人の暮らしぶりを知る絶好の機会となるコレクション展です。10月17日(日)まで開催されています。