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南陽市にある結城豊太郎記念館で、企画展「ふるさとのひなまつり」が3月21日まで開催されています。展示されているものは、市内の各家で大切に受け継がれてきた雛人形や婚礼衣装などのほか、市内在住の作家による吊るし雛や貝殻を使ったお雛様です。
今年は新たに木村家から南陽市が寄贈を受けた雛人形が展示されました。7段飾りの豪華なもので、「桃太郎」や「浦島太郎」、能や古典を題材にした「高砂」など、珍しい人形が置かれています。保存状態が良く、90年近く前のものとは思えないほど美しい雛人形となっています。
この木村家の雛人形は、持ち主だった木村美智子さんの父親が、昭和10年(1935)に横須賀にあった百貨店の雑賀屋(現さいか屋横須賀ショッピングプラザ)で購入したものです。海軍将校だった美智子さんの父親は、昭和19年7月、サイパン島玉砕時に乗艦していた潜水艦が沈没し戦死しました。その後、雛人形は母娘とともに南陽市にやってくることになりました。雛人形は、戦中戦後の混乱の中でも大切に保存され、残された母娘を支え続け、そして美智子さんが嫁がれた木村家で飾られるようになりました。美智子さんにとっては、父親がこの世に残した貴重な形見ともいえるものです。
入場無料。月曜日休館(但し、祝日は開館、翌日休館)
南陽市立結城豊大郎記念館 TEL 0238−43−6802