明治36年(1903)に建立され、石造り継目無しの鳥居としては日本一の大きさを誇る、南陽市赤湯の烏帽子山八幡宮大鳥居で、6月13日、東北芸術工科大学の研究者や地元石材店の専門家が大鳥居で使われている石材の破損や劣化状況などの調査を行いました。
この調査の背景としては、令和2年から3年の冬にかけて烏帽子山八幡宮の禰宜が大鳥居下に長さ約20センチ、幅15センチ、厚さ4センチほどのモルタル片があるのを確認し、笠石付近から落下したものと判断、烏帽子山八幡宮敬神会の神尾伸一会長に相談したのがきっかけです。
たまたま神尾会長は山形市元木にある日本最古の石鳥居で、重要文化財になっている鳥居の修復作業が行われたことを新聞で知り、昨年12月13日、その作業で保存・修復に関わった東北芸術工科大学文化財保存修復センターの客員研究員である石﨑武志氏(理学博士)を同大学に訪問し、烏帽子山八幡宮大鳥居の調査を依頼して、この日の調査に至ったものです。
調査では大鳥居の傍に大型クレーン車を配置し、ケーブルで吊るしたバスケットに石﨑氏と歌丸石材の歌丸慶二氏の2名が乗り、高さ10・75㍍、長さ12・7㍍ある笠石の周囲を目視検査、およびハンマーを叩いて、石の劣化状況などを確認しました。調査は約30分ほどかけて行われ、その結果、笠石にモルタル片が剥離したと考えられる部分は見つからず、笠石からの剥離ではないことが判明しました。
続いて、調査結果報告会が同八幡宮参集殿で行われ、石﨑氏と歌丸氏より報告が行われました。神尾会長は「大鳥居の状況は考えていたよりも軽症で安心しました。今後は人間ドックのように、定期的に大鳥居の状態の管理を行っていきたい」と話しています。