米沢市の出身で、東洋の書聖と謳われた宮島詠士(1867−1943、本名大八)の書に私淑(ししゅく)した、元上杉神社学芸員・尾崎周道(1923ー1978)の書展が7月5日からよねざわ市民ギャラリーナセBAで開催されています。
「ー宮島詠士の周辺ー 尾崎周道展」を主催したのは、宮島詠士を顕彰する詠士会(菊池峰月会長)で、多くの書を残し、また私塾で史記や漢詩などを若い人たちに教示し、のちに米沢の政治家、企業家、芸術家などに多大な影響を与えた尾崎周道の偉業を市民に紹介しようとするものです。展示された作品は、その多くが尾崎周道の薫陶を受けた門弟が師から頂いたもので、掛軸、扁額、まくり、書籍など約70点となっています。
尾崎周道の書風は、宮島詠士が中国に渡り、当代随一と言われた張廉卿(ちょうれんけい)に学び持ち帰ったと言われる「外方内円」と言われる書風を引き継いでいるもので、流れるような線の美しさは、まさに宮島詠士の書を見ている感じがしてきます。
大きな象は兎が通る道では遊ばない(大象不遊於兎径)と題する作品は、今、ロシアがウクライナに対して軍事侵攻を行っている様を例えている様です。
そば処弥平に贈った書は、「松竹梅 鶴ゝ 亀ゝ 鶴ゝ 亀ゝ」など、ユーモアを感じさせるものとなっています。
初日の5日には、元門弟だった人たちがオープニングと同時に駆けつけて、書を通して師尾崎周道との再会を果たしていました。
会期は7月10日(日)までで、7月9日(土)午後2時よりギャラリートークが開催されます。入場無料となっています。