企画展「ふるさとのひなまつり」が、南陽市にある結城豊太郎記念館で5月7日まで開催されています。展示されているのは、市内の各家で大切に受け継がれてきた雛人形や婚礼衣装などです。
南陽市金山にある菅野家は、江戸時代、初代菅野佐次兵衛が名字帯刀を許され、薬や紅花の仲買いを始めて財を築きました。享保雛は、男雛の釣りあがった涼しげな目元や張りのある両袖などに優雅な趣があります。平成28年に、同家から結城豊太郎記念館に寄贈されました。
また木村家の雛人形は、7段飾りの豪華なもので、「桃太郎」や「浦島太郎」、能や古典を題材にした「高砂」など珍しい人形が飾られています。保存状態が良く90年近く前のものとは思えないほど美しい雛人形です。同家からは一昨年に結城豊太郎記念館に寄贈されました。
木村家の雛人形は、持ち主だった木村美智子さんの父親が海軍将校で、昭和10年に横須賀の雑賀屋(現さいか屋横須賀ショッピングプラザ)で購入しました。昭和19年7月、サイパン島玉砕時に乗艦していた潜水艦が沈没し戦死したことから、この雛人形は母娘とともに南陽市に移り、戦中戦後と大切に保存されました。美智子さんにとっては、父親の貴重な形見ともいえるものです。
他には市内在住の作家による吊るし雛や貝殻を使ったお雛様が展示されました。今年は、5月まで「ふるさとのひなまつり」展が開催されることから、吊るし雛にも新しい趣向が取り入れられています。
雛人形を寄贈した菅野家の菅野幸子(たかこ)さんに、同家と雛人形に対する思いをお聞きしました。
入場無料。月曜日休館(祝日は開館、翌日休館)
南陽市立結城豊大郎記念館 TEL 0238−43−6802