米沢藩第9代藩主の上杉鷹山は、海から遠い米沢で貴重なタンパク源を得るために、藩士の屋敷に池を作り鯉を飼わせて食することを奨励しました。その伝統は現在の米沢においても「米沢味のABC」のC「Carp:鯉」として受け継がれ、代表的な米沢料理の一つとなっています。
鯉の消費拡大を記念して制定された5月1日の「鯉の日」に合わせて、米沢鯉商組合(宮坂宏組合長)は上杉神社境内にある鯉供養之碑前で、昭和35年から「米沢鯉供養祭」を開催しています。はじめに神事が行われ、参列者は玉串を奉奠しました。 そのあと生後3年となる丸々と太った鯉5匹が境内の池に放生(ほうじょう)されました。鯉は約2キログラムの重さがあり、オス・メスを混ぜました。鯉は長いものだと100年近く生きることがあり、強い生命力を持っています。
米沢市内には現在、鯉料理を提供しているお店(会社)が3社あり、例年、米沢鯉として出荷される量は計250トンにもなります。甘露煮、鯉のあらい、味噌煮である鯉こくに調理や加工され販売されています。鯉は骨や鱗、皮まで食べられますが、甘露煮は特にオーソドックスなメニューです。
平成22年頃までは、冠婚葬祭や温泉旅館などのメイン料理として使われてきましたが、新型コロナ以降は需要が減少しているということで、鯉供養祭などを通してPRしています。