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石田哲彌師自伝的小説『この子ばっかしゃ』の初講演会開催




 150年余り前の戊辰戦争で、米沢藩士が薩長などの官軍との戦いの際に屯所となった一つに現長岡市栃尾にある曹洞宗瑞雲寺があります。このお寺の東堂(前住職)である石田哲彌師は、昨年3月、東京の出版社である幻冬舎から『この子ばっかしゃ』という本を出版しました。
 栃尾は上杉謙信が初めて城主となり、戦国武将としてデビューを飾った地として有名で、今も上杉家との関係が深い土地柄です。毎年8月下旬に開催される「栃尾謙信公祭」には、上杉家第17代当主の上杉邦憲氏が毎年のように瑞雲寺においでになるそうです。
 『この子ばっかしゃ』は、石田師が幼少時に先の戦争で南方の赴いた父を失い、戦後の貧しい生活の中で、大人顔負けの賢さと逞しさを持って生き抜いていく少年ケンを生き生きと描いた作品です。さらに中学を終えて集団就職で関東に行き、会社勤めの中での出会いを通して、人の温かさに触れ、学問の大切さに気づき、定時制高校、大学へと進み、そしてあるきっかけで故郷栃尾に戻り、廃寺寸前のお寺の再建に関わるという25歳までの波乱に富んだ人生を自伝的小説としてまとめたものです。
 『この子ばっかしゃ』という言葉は、昔、長岡地域ではよく使われた言葉で、標準語で表せば、「この子ばかりが良い思いをして、ちゃっかりして」という意味の他に、「この子ばかりは大切にしたい」という愛情を含んだ言葉です。この言葉が石田少年に向けられた場合は、「この子ばかりには手に負えん」というニュアンスが強かったようです。
 出版から1年が経ち、マスコミなどでも紹介される中、3月9日、見附市中央公民館が主催する令和6年度生涯学習講演会において、石田師が『この子ばっかしゃ』を演題に、1時間半の講演を行いました。当日は、200名を超える市民らが集まりました。
 講演では、石田師が少年時代のいろいろなエピソードをスライドで紹介する中で、「FMながおか」でパーソナリティとなっている山田光枝さんが『この子ばっかしゃ』の本文を朗読して、「やればできる!なんでもできる!」という少年ケンの生き様や力強さを参加者に伝えました。講演は当時の歴史や政治状況も知ることができた内容でした。また講演の構成では、朗読の他、ケンがチンピラに絡まれた時や工場の流れ作業での主要部品を紛失した時のエピソードを通して、「あなたならその時どうする?」といったような問いかけを参加者に行うなど、一般的な講演会とは趣を異にする内容でした。
 講演会終了後は、本の販売とサイン会が行われ、参加者はその場で石田氏に講演の感想などを話していました。