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竹田 歴史講座
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書評 連山 第23輯、米沢短歌会が5年ぶりに会誌発行

1 米沢短歌会(神尾潔会長)が発行する歌誌。同会の前身は米沢アララギ短歌会で、昭和26年に現米沢東高等学校に29名が集い発足、結社以来、これまで70年余年の歴史と684回の歌会を重ねてきた。
 同会の会誌「連山」の表紙裏には、「『連山』発刊の歓び」と題する結城哀草果の挨拶文が掲載されている。同会の初代講師となった結城哀草果(1893ー1974)は、山形市に生まれ、活動したアララギ派歌人。歌誌『赤光』を創刊して、山形県内外で多くの歌人に大きな影響を及ぼした。
 「連山」の発行は、平成29年以来5年ぶりとなるもので、今回で第23輯(しゅう)を数える。前回から5年間に綴った歌を全て1056首を網羅した。神尾潔会長は、「隔月開催の歌会も新型コロナにより中止を余儀なくされたが、この間、何回かの吟行にも出かけた。会員は日々の暮らしの中に歌の心を持ち続け、心豊かな人生を楽しんでいる。」と挨拶の中で書いているが、まさにその通りで、心豊かな人生は私たちが追い求める至上の幸せであり、目標でもある。
 さて、第23輯に合わせて、12人の会員が一人10首を掲載した。その中から一人1首を紹介する。
一色に照りて輝く雪原の高低わかたぬなかに足を出す      布宮雅昭
腹すかし猫と雀とわれが待つ妻の買物夕ぐるる頃        池田 弘
咲き初むる桜の花に降りかかる雪を踏みしめ息子旅立つ     池村真理
野鳥飛ぶ谷沿ひの宿にオオルリの声澄み透るも姿は見えず    猪俣きぬ
一本道に祖父の短歌を諳んじつつ蔵王駅まで母と子歩む     神尾 潔
親子して家業頑張る姿見て先祖に感謝する日々の過ぎゆく    小池きみ
茹であがる湯上り娘はぷちぷちと音立て香をたて厨に夏来ぬ   小口美千代
湖畔の林にしきり囀る小鳥あり姿を見せずその名を知らず    篠原玲子
自(おの)づから父母を越えたる老境を今愛しまむ背筋は伸ばし 高橋マツ子
母掘り来し割箸ほどの槻の木は庭をおほひて若葉みどりに    堤 和子
師の逝きて空家となりし庭の池に赤き金魚のひとつ泳げり    松野邦子
江戸明治時のかさぶた重ねたる囲炉裏の灰のひんやりと在り   山下和枝

2 連山には、他に平成31年に亡くなった高橋光義先生の追悼歌が一人2首、会員の中村倶子さん、増渕美和子さんの追悼歌が一人1首ずつ詠まれている他、655回(平成29年2月)から684回(令和3年12月)までの月例会での全作品が、一人2首ずつ詠まれている。さらに第53回から57回までの米沢市民芸術祭総合文学・歴史展に合わせての作品が掲載されている。
 同会は、令和2年度松坂世紀記念財団奨励賞を受賞した。世紀工業(現世紀株式会社)の元常務取締役・故松坂二郎氏の意志を受け、昭和59年に創設されたもので、長きにわたり、米沢市民芸術祭等を通して、短歌の普及と次世代への伝承に努め、県内の短歌の振興・地域の芸術文化の発展に寄与したことが受賞理由となっている。
 同会は、気負わないで和気あいあいと短歌づくりを楽しむ会。偶数月の第一火曜日に米沢市中部コミセンで歌会を開催している。名所旧跡を訪ねる吟行会や親睦を図る食事会、作品展示などを行っている。見学も大歓迎とのこと。(米沢日報デジタル 成澤礼夫記)

編集兼発行者 米沢短歌会(会長 神尾潔)
    992−0044 米沢市春日5−3−12
    TEL 090−2275−3661
    k-kano@kdn.biglobe.ne.jp
発行日 令和4年12月1日

(2023年1月27日12:50配信)