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書評 『Penac No.50』 長岡ペンクラブ発行

1 新潟県長岡市にある長岡ペンクラブ(堀桂子会長)が発行する冊子。同会は昭和51年(1976)、故羽賀善蔵氏の提唱により創立され、今年で設立満50周年を迎えた。長岡地域の文芸・文化活動等に関心を持つ会員らで組織し、教養と親睦を図り、地域の文化向上と発展に寄与することをうたっている。会員は、令和7年6月現在で、60名を数える大世帯である。
『Penac50号』では、まずクラブ創立から半世紀が経ち、50号という節目に合わせて、8名の会員が思い出を寄稿した。
 現会長の堀桂子氏は、初代会長羽賀善蔵氏の娘さん。創立当初の親子の会話、創立に向けた市役所、商工会議所、その他の団体の応援と協力を頂いたことに触れ、芳賀氏らが考えていた市民文芸の誕生と農民文学の人たちも加わり、「一つの河の流れの如く動いていたと思う。」と創立当初の時代を述べる。創立当初は、会員数が270名近くいたというから、地元の期待は並大抵のものではなかったことが推測される。
 現事務局長の小野塚純夫氏は、元高校教員で、在職中から長岡ペンクラブへの誘いがあったとのこと。事務局長を引き受けた経緯に触れ、会員数が60名と創立当時の4分の1となった現状にも極めて平常心で向かい、「文化芸術活動というのは、ゼロになることはない。市民全体が狂ったかのようなものではない。」と、市民の肌感覚での文芸活動を概観しているが、Penacを見るにつけ、事務局長としての力量とたくましさを感じる。
 
 さて、No.50は310頁余の厚さ、No.49が280頁だったがそれを30頁も上回る規模となった。手にした時は再びその厚さと内容の重厚さに驚いた。内容は、巻頭言、Penac50号特集、評論、創作、随想、詩歌(詩、短歌、俳句)のほか、継続特集として、ミニ小説特集、俳句特集、良寛特集、事務局・編集部情報など、50名を超える人たちが寄稿している。多岐にわたる内容で、とても全部を紹介できるものではない。
 いくつかを紹介させていただくと、評論では石田哲彌氏が、『心はふるさとの風にのって…光る砂漠ー若い生命を詩でつづった矢沢宰ー』と題して寄稿した。昭和41年、21歳の若さでこの世を去った青年、矢沢宰(おさむ)さんのことを書いている。矢沢さんが作った詩が、死後、詩集『光る砂漠ー第一に死がー』として発刊され、人々に深い感銘を与え心の中にしっかりと刻まれた様を記している。令和7年9月、「FMながおか ひるどきラジオ」でこの寄稿が紹介された。
 随想では、村山信行氏が『ブラームスとビルロート、そしてクララ・シューマン(改訂版)』を寄稿した。ロマン派音楽の巨匠ブラームスと、ブラームスを世に紹介した作曲家シューマン、その夫人でピアニストとして活躍したクララとの親交は広く知られているところだ。特に、ブラームスとビルロート(1829〜1894)について触れている。ビルロートは、ウィーン大学教授で世界初の胃切除手術に成功した有名な外科医だという。またブラームスの音楽の良き理解者であり、特に親しい友人だったことも触られている。本文を読み進めると、村上氏はお医者さんのようである。ブラームス作曲の交響曲第1番、第2番や、そのほかの作品の作風についても深い考察を加えており、クラシック音楽に関する造形がとても深い。ブラームスやシューマンの音楽大好き人間の評者としては、目からウロコのような気持ちで読ませていただいた。
 良寛特集では、安達武男氏が『「今に生きる良寛」を思う』、金山有紘氏が「良寛の俳句」を寄稿し、No.49号に続いて、良寛の深堀をおこなっている。
 今号も内容が多岐に渡り、読者を決して飽きさせない。Penacの次号も期待したい。(評者 米沢日報デジタル/成澤礼夫)

冊子名 Penac No.50
発行者 長岡ペンクラブ 長岡市学校町2−11−25
    TEL 090-1401-4874(事務局)
発行日 2025年6月20日
定 価 1,200円(本体1,091円+消費税10%)