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竹田 歴史講座

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書評 米沢文化2023 vol.52


94 米沢市芸術文化協会が年に一度発行する会誌で、同協会のこの1年の活動を振り返る内容や、各分野からの寄稿文が掲載されている。芸術文化というからに内容は幅広く、深く、実に読み応えがあるものばかりである。A4で80頁となる大冊である。
 グラビアでは、写真で振り返る芸文協の活動と題して、おきたま若手作家展SUBACO2022を始め、よねざわステージフェスティバル'22、総合工芸展、総合華道展などの展覧会、芸文協総会・四賞表彰式の模様が紹介されている。
 寄稿では、米沢児童文化協会会長の髙橋捷夫氏が「戦後の児童文化を創り上げた人たち」と題して、同協会が60年間の歴史を閉じたことに関して、その業績などを振り返っている。同協会は昭和33年1月に、『米沢こども新聞』第一号を発行、令和元年5月、第340号『米沢小中学生新聞』をもって、満60年の歴史を閉じ同協会も閉会とした。
 戦後の児童文化の創設者として、吉野正八氏、桑島茂氏、上村良作氏の3人を紹介。とりわけ、吉野氏の交友の幅が広いことが幸いして、活動は盛り上がりを見せる。吉野氏を児童文学に向かわせた理由としては、事業関係や市会議員から県政へ出る場面で挫折したこともあり、知り合いに「君は文化的な仕事の方が似合っているし、君のセンスを生かせるよ」と言われたことらしい。現在、毎年8月に上杉神社周辺で開催されている米沢納涼水上花火大会も吉野氏の発案で始められたもの。吉野氏は、松岬公園に「児童遊園地」を作り、観覧車、ミニ電車、豆自動車などが開業した。子供たちに大きな夢を与えたという功績は大きい。吉野氏を支えたのが桑島茂氏、また上村良作氏が文を書き、高森務氏が挿絵を書いた『郷土に光を掲げた人々』は、不朽の名著と言っていいだろう。
 米沢文化では、他に「伊東忠太の会」発足や、米沢市の芸術文化活動に大きな寄与をし、昨年に亡くなられた鈴木秀男氏、山中三平氏、酒井登美子氏、石栗宗静氏の各氏を偲ぶ追悼文が掲載された。
 清野春樹氏(同協会副会長)は、本号で米沢の音楽シーンとして、「LIVE ARB・CAFE ARB」に関して、第68回斎藤茂吉文化賞に米沢市の梅津幸保氏の受賞、山形県内のアイヌ語地名(その7)、地元関連出版物の紹介と多彩な能力を発揮している。髙橋洸風氏は、「かな書道に魅せられて」として、同書道展20年の歩みを紹介している。
 本誌から米沢の芸術文化は、年々、いかに進化と深化を繰り返してきたかを感じさせる内容となっている。

発行者 米沢市芸術文化協会(佐藤嘉一)
発行日 令和5年3月31日