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竹田 歴史講座

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(株)米沢食肉公社 代表取締役社長 日下部道雄氏


 株式会社米沢食肉公社の新社長に就任した日下部道雄氏に新社長としての抱負や今後の展望について伺った。

ーーまずは新社長としての抱負は。

日下部氏 市役所時代は29年間、農林行政に携わりましたが、行政と経営は別ものであり、米沢食肉公社社長として万全の経営に当りたいと思います。経営は日々の生き物であり、その時々の臨機応変で的確な判断が求められています。

 まず第一に、「お客さまへの感謝」からスタートにして、第二に「社員への感謝」、第三に「地域への貢献」を掲げたいと思います。米沢食肉公社は、山形県、置賜地方の3市5町、山形おきたま農協などから出資を頂いている第三セクターです。置賜地域にあって成り立っている訳ですから、より地域に密着し、愛される公社にしていきたいですね。また、関係機関・団体と連携を図り、米沢牛をはじめとした地域畜産物の食肉流通・加工の拠点施設です。そして、食の安全・安心をモットーに消費者の皆様に利用していただける公社として、職員と一丸となって努力していきたいと考えています。

ーー売上増加など、経営基盤の強化についてはどうお考えですか。

日下部氏 平成12年以降、「と畜場」の改築や汚水浄化槽の設備更新、平成22年の食肉加工棟、部分肉棟の改築などにより、予定していた第3期工事はすべて完了し、衛生面や環境面では整備された形になりました。

 食肉加工棟が新築されたことで、加工面の規模が拡大することになります。一昨年から営業課を設け、この4月からは、営業体制を強化するために営業人員を3名体制にしました。現在、営業の範囲は関東だけでなく、関西、そして九州地方まで拡大しています。加工品の売上は3億円弱ですが、これを3年以内に4億円まで引き上げようと頑張っています。

 同時に、現在の少量多品種の生産品目を見直し、コンサルタントとプロジェクトチームを作り、ロスの改善を図っています。

ーー具体的にはどのようなことですか。

日下部氏 例えば、牛や豚の内臓物の高度利用ができないかの検討です。現在は、食肉処理場の設備の制約から、内臓物は100%利用ができず、専門卸への販売が主体で、一部廃棄せざるを得ない部位もあります。例えば皮、内臓などを独自に加工して、付加価値を付けることができれば、牛豚などの生産者にも利益を還元できます。

 外国では牛の尾を利用したオックステールスープなどは、最高級の料理となっていますが、米沢牛のオックステールスープなども研究の価値があります。農林水産業の六次産業化と併せて、どんなことが可能か、検討してみたいと思います。

ーーTPPに正式加盟した際、米沢牛も外国へ輸出できる可能性が広がると思いますが、そのための備えはいかがですか。

日下部氏 県内には、と畜を行う食肉センターが3つあります。輸出については話も出ますが、いろいろと課題もあるようです。例えば、世界標準の食肉処理場にするには、作業手順の関係で人員面は現在の1・5倍が必要と見られています。

 設備面でも、牛と豚のと畜、及び加工場所は完全に切り離されていなければなりません。一旦、その輸出モデルのラインを動かせば、国内向けも処理することになり、現在のと畜や加工頭数で、コストが見合うのかという課題点があります。

 仮に輸出をする場合でも、単独で扱うというよりも、どこかと協同で、ラインを立ち上げるという方法もあります。米沢牛がほしいと海外バイヤーが、いまも米沢食肉公社を訪問して参ります。食肉の輸出入が自由化される可能性を見越した準備も必要です。

ーー米沢牛市場の受給バランスはいかがですか。

日下部氏 米沢牛の基となる子牛は、その8割以上を他県から導入して来ました。しかし、宮崎県で発生した口蹄疫で、供給体制が一時ストップしたほか、福島、宮城、岩手も東日本大震災や原発事故の影響もあり、子牛の価格も急騰し、厳しくなっております。子牛が入らなければ、肥育ができず、経営的にも問題となります。

 子牛生産の減少傾向が懸念されています。子牛の繁殖から肥育までの地域一貫生産拡大が大切となります。置賜総合支庁をはじめ、置賜3市5町、米沢牛銘柄推進協議会、米沢食肉公社などが一体となり、解決に当っていかなければなりません。

ひさかべみちお
 昭和24年米沢市生まれ。県立置賜農業高校農業科卒業。民間会社を経て、昭和49年、米沢市役所入所、米沢青果市場勤務を皮切りに、農林課、農業委員会等に勤務、健康福祉部長、平成22年3月、市役所退職。同25年5月、から現職。