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山形県立米沢女子短期大学社会情報学科の西川友子准教授は、3月29日、米沢市南部コミュニティセンター(遠藤岩根館長)を訪れ、「ユニバーサルデザインを意識した歩行空間状況の把握:Part2 米沢市南部地区を対象として」と題する51頁からなる研究報告(山形県立米沢女子短期大学『生活文化研究所報告 第45号』2018年3月)の抜刷版を遠藤岩根館長に贈呈しました。
(研究報告を手渡す西川友子准教授=写真(右)と遠藤岩根館長)
米沢市南部コミュニティセンターでは、西川准教授の協力を得て、昨年12月24日〜今年2月14日まで、米沢市南部地区を対象に調査した歩行危険箇所に関するパネル展示を行い、同コミセン利用者への啓発に取り組みました。
西川准教授は、平成27年4月より米沢女子短期大学で教鞭をとり、専門は「コンピュータ情報システムの利活用」です。西川准教授は、高齢者、障がい者や子どもなどが気軽に街中を移動でき、安心安全な歩行空間を確保することを目的に、平成28年度にプロジェクトを立ち上げ、初年度は米沢市中部地区を対象に調査、Part1の報告を行いましたが、そのきっかけとなったのは、「米沢の道は歩きにくい、分かりにくい」という学生の声でした。西川准教授も夜道を歩く時が多く、金網に足を取られた時があることから、普段知っている所に危険が潜んでいると考えました。
平成29年度は、西川准教授と、大場愛さんらゼミ生4人が昨年5月から米沢市南部地区で調査を開始し、南部地区を4つの調査エリアに分割し、合計9コース14ルートを徒歩で移動し、目視確認によって調査対象物の位置情報を記録しました。(写真上=調査対象物の地物)
調査対象物は、スロープ、金網、鉄板、排雪用側溝網、側溝、マンホール、カーブミラー、ガードレール、点字ブロックの9つの地物と、新たにセーフティパイプと縁石の2つを加え計11個で、ほかに道幅情報として「道路幅が広い箇所」「道路幅が狭い箇所」、安全な歩行に関する情報として「危険ゾーン」の調査を行い、収集したデータは地理情報システム(GIS)にデジタルデータとして入力し一元管理しました。
調査の結果は、各調査コースで多くの地物を確認し、点字ブロックの敷設状況では、調査した9コース14ルートの中で4ルートのみにしか敷設がされておらず、南部地区は敷設数が少ない現状が明らかになりました。
とりわけ、雪国米沢で冬季間に重要な役割を果たしている排雪用側溝の金網は、ルートに満遍なく存在し、悪天候時には特に足元に注意しながら歩行する必要のある道であることを指摘しました。
さらに、歩行者の安全性が損なわれる可能性があると判断された「危険ゾーン」は、9コース14ルートすべてで確認され、その合計は48箇所にのぼりました。また道幅が狭い箇所は全コース・ルートで42か所確認できました。
(写真右=上杉神社周辺の金網、側溝、排雪用側溝網、側溝の位置状況)
研究報告では、見通しが悪く、高齢者や障がい者や子どものみならず、健常者に取っても危険で必要な対策を検討する必要がある場所も指摘しています。
西川准教授は、「今回の調査により米沢市内7エリアのうち2エリアの調査が終了しましたが、米沢が誰でも安心安全で住みやすい街として発展していけるよう、様々な視点で調査研究を続けていく予定です」と話しています。
遠藤館長は、「一生懸命に取り組まれた調査研究であり、足元を見つめるという意味で重要な内容です。米沢市や他地区のコミセンの方々にも紹介し、役立てて頂きたいと思います」と述べています。
(2018年3月31日13:30配信)