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8月20日、米沢市議会産業建設常任委員会が開催され、今年6月7日に発生した天元台ロープウェイ搬器衝突事故に伴う事故復旧対策や運営会社である(株)天元台への支援策について協議を行いました。(写真右=米沢市議会産業建設常任委員会)
はじめに市産業部観光課が事故による搬器の損傷の状態や復旧対策などについて説明し、損傷の状況は、
1)走行機の走行輪8輪全てでフランジが変形し、輪芯以外の部品の交換が必要。
2)搬器の前面左側に大きな接触痕や後部屋根に大きな接触痕があり、フレーム、ガイドが歪み、その影響で乗降扉の開閉に支障、ルーフハッチの変形
が判明しました。
その修繕内容としては、
1)フレーム、ガイドの交換、後部上面の損傷部位を含む新規屋根の取付、新規外装の取付。
2)ルーフハッチの新規交換、扉の開閉に関わるドアレール等のドアメカの交換、塗装作業、シャワーテスト。
を実施します。(下図=搬器の損傷箇所)
また米沢市が実施する復旧対策として、
1)搬器搬送業務(回送、取り外し、工場への搬送、点検)に225万7,200円(税込)(依頼先は日本ケーブル(株))予備費より6月24日に実施済み。
2)搬器等修繕業務として、(搬器走行機・懸垂機・脱索復元ガイド分解・点検・修繕、搬入、取付、点検)に4,664万円(税込)。(依頼先は日本ケーブル(株))
3)再発防止対策業務として、金額は未定。(安全対策上必要な場合に実施)
また(株)天元台への運営支援として、令和元年6月から同2年3月までの資金不足額見込みとして4,120万円の補助金(運営費)による支援を行うとしています。その前提として、令和2年1月にロープウェイの運転再開し、1月に1,300万円の収入確保を目指しています。
観光課では、支援理由として、
1)瞬間的な突風に起因する事故が原因であり、運営会社の経営努力だけでは限界。
2)西吾妻及び天元台高原は米沢市山岳観光の拠点であり、運営会社の役割が重要。
3)天元台の運営と白布地区の地域・経済活動は密接不可分、事故の影響を最小限に食い止める必要。
4)ペンション(5軒)や公共通信施設への交通手段として公益性が高い。
5)(株)天元台は、鉄道事業法に基づく許可を得ており、専門的な能力、経験、技術を有する
ことなどを挙げています。(写真上=事故を起こした搬器 資料写真)
また実現可能な経営対策として、
1)令和2年3月までの短期アクションプランによる緊急経営対策の実施。
2)東北運輸局の指導に基づく万全の安全対策を行い、搬器修繕完了に合わせての運転再開。
3)令和元年10月までの中期経営改革プラン(5か年)の策定による経営の安定・健全化。
4)令和2年以降、毎年7月に市議会に経営状況を報告
を行うとしています。
令和元年8月補正予算として、復旧対策費4,664万円 + 運営支援4,120万円=8,784万円を計上予定で、8月28日開会の令和元年米沢市議会8月臨時会に上程されます。
ほかに搬器に関しては、新規契約で損害保険に加入する予定です。(金額は、東北管内の索道会社を参考に確認中)
全体経費は、機器搬送費2,257,200円+令和元年8月補正予算分8,784万円 +再発防止対策業務+損害保険料となります。
再発防止策は次の通りです。
1)山形大学工学部等の専門家に依頼し、風の特性に関する科学的な調査・分析。
2)風速15m/sで瞬時停止(手動または自動)、風速12m/sで強制的に強風運転モードへの切り替え(手動または自動)。
3)1)に基づく運行マニュアルの見直し。
4)東北管内2か所び索道事業者での研修。
5)安全総括責任者、索道技術管理者を中心にスタッフ教育の徹底。
6)運転中止時の代替輸送体制の構築。
また緊急経営対策短期アクションプランとして、
1)代替輸送体制の維持・拡充
現在:6台(最大38人/回、76人/時間)→9月後半〜:7台(最大45人/回、90人/時間)。
2)秋トレッキングシーズン平日特別割引(1,750人限定)。
リフト3基往復プレミアムチケット(飲物・入浴・記念品付き)
3,000円→1,500円
3)各種イベント・プラン等の催行
4)宣伝対策
などを計画しています。
産業建設常任委員会委員より当局に対して、令和2年1月から搬器運行再開による売上が計画されているが、修繕の工程表はどうなっているのか、その日程によっては補助金(運営費)が不足といった事態にならないか、白布温泉街のヒヤリングや情報把握はどうか、風の特性に関する調査への費用は、などの質問が出されました。
(2019年8月22日20:15配信)