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恋人同士の間で起こる暴力「デートDV」について、実情や予防に向けた啓発を図ろうと、1月11日、「デートDV防止講座 in 米沢」がナセBAで開催されました。この講座は、山形県が平成24年より実施しているもので、今回は米沢市との共催で行われ約30人が出席しました。(写真右=約30名が参加した出前講座)
はじめに、山形県子育て推進部若者活躍・男女共同参画課課長 佐藤佳子さんが挨拶し、「近年、配偶者間のDVや交際相手間のデートDV、児童虐待など、女性への暴力や家庭内の暴力が大きな問題になっていますが、暴力は重大な人権侵害です。一人ひとりが能力を発揮し、思いやり支え合う山形県の実現のためには、誰でもが個人として尊敬され、いきいきと生活できる社会が重要。平成28年に策定した"山形県DV被害者支援基本計画"に基づき、DV被害を防ぐ施策を実施しています。」と述べ、県内の高校、大学、専門学校の生徒や学生を対象としたデートDVの未然防止に向けた普及啓発や父兄を対象にした予防啓発セミナーなどの実施状況などを説明しました。(写真右=挨拶する山形県子育て推進部若者活躍・男女共同参画課課長 佐藤佳子さん)
続いて、特定活動法人サポート唯副代表理事の田中千鶴子さんが講師となり、「みんなで考えたい『デートDV』」と題する講演が行われました。(写真右=講演する田中千鶴子さん)
田中さんは、DV(ドメスティックバイオレンス)と言われる配偶者からの暴力には、身体的暴力、精神的暴力、社会的暴力、経済的暴力、性的なものがあるとし、暴力は緊張形成期、爆発期、開放期がサイクルとなり、繰り返されると説明しました。
また、10代の若者の間にも「デートDV」と呼ばれる暴力があり、暴力という点ではDVと全く同じだとしましたが、デートDVはDV防止法の枠外にあり、この法律での保護は難しく、関係する法律は「ストーカー規制法」や「刑法」などとなります。
配偶者暴力等に関する保護命令事件の処理件数は、平成20年の3,143件をピークに、平成30年度には、2,177件まで減少していますが、ストーカー事案の相談件数は、平成14年の12,024件から平成30年の21,556件と右肩上がりで増加傾向を示しています。
田中さんは、言葉によるDVの例として、参加者に若い男女間での会話をロール・プレイング(役割演技)してもらい、その時の男性と女性の気持ちや関係性を分析しました。そこで分かったことは、二人の関係が対等ではなく、上下、または主従になっていることでした。
男女間が素敵な関係になるためには、「暴力を認めない」、「自分のことを大切にする」、「相手のことも大切にする」の3点だと述べました。
また、DVの相談を受けた場合は、相談者の話を信じて聴くこと(傾聴、受容、共感)、感情を受け止め話をしてもらい非難しないこと、常識や従来の女性観を決して押し付けないこと、「自分に落ち度があった」と自己を責めている場合が多いので、自己肯定できる言葉をかけるなどをアドバイスしました。
DVは、様々な年齢や階層で起こり得るとして、DVへの深い理解と支援が必要だと述べました。
(2020年1月13日15:10配信)