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米沢市にある仏教寺院の住職が、4月27日、米沢市役所を訪問し、中川勝米沢市長に対して米沢市斎場建替えに係る検討委員会の早期立上げなどを要望した。
この日米沢市役所を訪れたのは、舘山寺の山口卓道住職、龍言寺の長沢昭義住職、繁応院の保科繁茂住職の3名で、米沢市側は中川市長、安部道夫市民環境部長らが対応した。
山口住職は、葬儀の度に斎場に赴く立場から、「斎場は人生の終焉の場所で憩いの場所でなければならず、遺族は故人のことで頭がいっぱいで、斎場にどのような不具合があるかまでは分からない」とし、現在の米沢市斎場は火葬炉が古く、従事する職員が火力調整などで苦労している点を紹介したほか、火葬が1日あたり6件となると職員が食事をとる時間的余裕もなく、「現状3人の職員体制では無理がある」と指摘した。さらに「斎場の建替えに向けた検討委員会を早急に立上げて欲しい」と要望し、斎場の建替えとなれば、現状斎場使用料は無料だが、1,000円から2,000円程度の協力を求めても市民の理解は得られるのではないかとも述べた。
山口住職らは、斎場の建替え事業がスムースに進むようにと寄託金10万円を中川市長に手渡した。中川市長は「お寺様からの気持ちが伝わってきてありがたい。どのように取り組むかについては考えていかなければならない」と述べている。中川市長と会談後、山口住職は「今後、米沢市からどのような形でアクションがあるか見極める」としている。
米沢市斎場(米沢市万世町片子)は、昭和46年(1971)に建設され、今年で満50年となるが、米沢市は平成30年度に斎場棟と待合室の耐震診断、平成31年度と令和元年度に、増築部分の待合室や渡り廊下の耐震補強設計、令和2年度に米沢市斎場の待合室棟、渡り廊下棟の耐震補強工事、内外装改修工事及び斎場全体の屋根改修工事など、4年間にわたって事業を進めている。
令和3年3月3日に開催された米沢市議会3月定例会で、影澤政夫議員は「斎場の管理運営体制の強化と建替えについて」と題して、一般質問を行った。その中で、「斎場施設に前室がない」ことや、「バーナー調整のみで行っている火葬炉の火加減の難しさ」、「お骨上げの場所の問題」をあげた。さらに2016年以降、年間1,100件の火葬を3人体制で対応しており、大変な負担になっていることなどを指摘し、指定管理事業者に無理強いがないかの確認と点検を求めた。最後に葬祭環境の変化や高齢化など社会的ニーズを把握し、市民だれもが利用する施設として課題を整理・検討し、宗教者、学識経験者、市民、関連事業者、学生、若者などから広く意見を求める仮称斎場新築検討委員会のような組織を立上げて議論し、建替えに向けたロードマップを前向きに検討してほしいと質問した。
これに対して森谷幸彦市民環境部長(当時)は、「火葬件数は現状の年1,100件が続く見通し」であることや、「今般策定した米沢市公共施設等総合管理計画に基づき、耐震化工事を実施した上で、令和17年度まで現状の施設を維持する」方針であることを答弁した。