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竹田 歴史講座

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(公社)米沢法人会定時総会、宮家邦彦氏が記念講演


 公益社団法人米沢法人会(香坂洋一会長)は、5月20日、グランドホクヨウにおいて、第9回定時総会を開催した。
houjinkai-1 総会に先立ち、キャノングローバル戦略研究所研究主幹、(株)外交政策研究所代表取締役、立命館大学客員教授の宮家邦彦氏が「国際情勢と今後の日本経済に与える影響」と題して1時間半にわたり記念講演を行った。
(写真右=講演を行う宮家邦彦氏)

 宮家氏は、4月14日にワシントンで、G7中で最初に日米首脳会談が行われた理由として、「中国と対峙するのにアメリカ一国ではできない」ことの表れだとした。「力の真空が起きた時にパワーが動く」と述べ、ロシア、中国、朝鮮半島、台湾、日本などの地政学的リスクを分析した。
 新型コロナウイルスは、人間の営みの破壊者でコロナ以前の問題を劇症化させ、当分問題は続き、誰がやっても現職の政治家は失脚するとの観測を示した。
 東アジアの状況では、1930年代と2020年代は良く似ているとし、1930年代は東アジアに日本という新興国が生まれ、2020年代は1930年代に日本がやったことの10倍の規模で中国がやっている。今アメリカは中国にやられるかもしれないと、潰しにかかっている。米国のバイデン政権は、「国際協調と同盟国重視」に復帰した。「米国は中国政策で致命的なミスを犯した」と述べ、中国の経済が繁栄すれば民主化が進むという考えかたで、実際に中国は経済的に発展したが、共産党独裁は継続し経済力を武器に覇権を進めている。中国は多数のミサイルを沿岸に配備してアメリカ空母群に備えているが、「米中戦争」ゲームでは、アメリカ軍は中国に勝てない。この30年間、アメリカ軍が中東で陸上戦闘をやっている間に、中国はミサイルなどの武器を大量に開発して、第一列島線に入ってきたアメリカ軍は勝てない状況になっている。その結果、南シナ海での軍事基地の建設や尖閣での中国海警による領海侵犯などの行動に出ている。
houjinkai-2 宮家氏は、これらの中国によりつくられた状況は今後、10年から20年続くとの見通しを述べた。中国は「孫子の兵法」により戦わずに勝つ戦略で、アメリカが尖閣諸島や台湾を守らなくなる「力の真空」を狙っていると推測している。また日中関係は米中関係の「従属変数」とし、米中関係次第で変わり得るものと定義した。中国は対日関係を軟化しても戦略的譲歩はしないと述べた。
 その対応としては、デジタル「経済ブロック」化による「選択的中国離れ」をすることだと述べ、AI(人工知能)が進めば、中国とのデカップリング(中国離れ)は避けらないと述べた。ハイテク技術のためには、日本は補助金を出して汎用技術をどんどん開発をやることだとした。
 最後に世界の国々が国際的結束をすることで、中国は代償を払うことになる。日本の軍事覇権に対して、ABCD包囲網が形成されたように、中国に対してクワッドが形成されたが、日本はその一丁目1番地にならなければならない。この10年を日本はどう頑張り、我慢できるかだと結んだ。

yohaku 総会では、香坂会長が「昭和56年5月に社団化を行い39年、公益社団法人となり8年となった。平成元年から令和元年まで加入率70%を継続してきたが、令和2年は68.1%と達成できず申し訳ない」と述べ、税制改正の要望書を自治体首長に陳情、クリーン&グリーン作戦、1万枚のマスク寄贈、租税教育などの活動を実施してきたことなどについて触れた。
 総会は令和3年度事業計画や予算のすべての議案で賛同が得られ、役員では副会長に我妻弘一氏(米沢市)が選任された。

(2021年5月29日11:30配信)