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竹田 歴史講座

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米沢市上杉博物舘、企画展「きかんしゃトーマス展」

uesugi-1 米沢市上杉博物舘(島津眞一館長)では、6月26日(土)から8月1日(日)の日程で、開館20周年記念企画展「原作出版75周年 きかんしゃトーマス展 〜ソドー島のなかまたちが教えてくれたこと」を開催する。
 「きかんしゃトーマス」は、英国の牧師ウィルバート・オードリー(1911〜1997)が、はしかにかかった病床の息子クリストファーに機関車の話をして聞かせた話を、妻の勧めで1945年に汽車のえほん『3だいの機関車』として出版したもので、これまで汽車のえほんはシリーズ26冊が世に出たほか、人形劇やテレビアニメ化され、今も世界中の幅広い世代から親しまれている。
uesugi-2 同上杉博物舘での開催は、国内では札幌、新潟に続いて3カ所目となるもので、生まれ故郷の英国から日本初公開となる絵本原画約180点をはじめ、人形劇の撮影に使用されたプロップス(小道具)、ジオラマ、映像などを交えた、子供から大人まで楽しめる企画展となっている。
 ウィルバート・オードリーは、英国ハンプシャー州ロムジーに生まれ、父親のベアは司祭館であった自宅の庭に、鉄道模型のレールを敷いて子供たちと遊ぶのを好んだ。その後、一家でウィルトシャーのボックスに引っ越したが、自宅近くのグレートウェスタン鉄道の線路沿いの散歩や「ボックス・トンネル」を出入りする汽車に親しみを覚え、ウィルバート少年は蒸気やエンジンの音を聞きながら、「機関車は人間と同じような感情を持っている」と感じるようになった。
uesugi-3 ウィルバートは、クリストファーに手作りの木製のおもちゃをプレゼントしたところ、クリストファーはそのおもちゃに「トーマス」と名付けて、父にトーマスの話を作ってくれるように頼み、できたのが2作目となる『機関車トーマス』(1946年刊)である。
 『汽車のえほん』の魅力は、親から子へ個性豊かなきかんしゃたちの失敗や成長を通して、「正直」「努力」「仲間たち」の大切さを伝える作者の温かいメッセージ。
 企画展では、ウィルバートの貴重な直筆草稿や、3組4人の絵本画家が描いたシリーズ絵本の原画をテーマごと(「1 自分と向き合う」、「2 仲間と向き合う」、「3 仕事と向き合う」)の3部構成にして展示、また展覧会でしか見られないオフィシャル動画「ライフレッスンズ」(日本語版)の放映は、1分間でトーマスと仲間たちから人生の教訓が学べるという趣向で見逃せない。さらに模型電車が実際に走るソドー島の大きなジオラマも見所となっている。館内には3箇所で記念写真撮影が可能なスポットも用意されている。トーマスの話した言葉などが雲形バナーパネルに書かれてあり、天井から吊るされて会場を和ませている。
uesugi-4 ソドー島は、イギリスのアイリッシュ海上のマン島とイギリス本土の間にある架空の島で、東西約100キロ、南北約80キロとされている。このソドー島では、丘の途中で立ち往生してしまった蒸気機関車エドワードを蒸気機関車のゴードンが後ろから押して助けるなどの話が描かれている。
 2019年には、テレビ第22シリーズが国連とのタイアップでSDGsを盛り込み、魅力的な新キャラクターが仲間入りした。
 学芸員の遠藤友紀さんは、「トーマスの話は人間社会の縮図みたいになっているので、オードリーが楽しませながらも牧師としての価値観を伝えたいという信念を込めているので、原作者のメッセージを感じてもらえたら」と話している。
 入場料は一般500円、高大生300円、小中生200円。開館時間は9:00〜17:00(入館16:30まで)。