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一般社団法人米沢観光コンベンション協会(小嶋彌左衛門会長)が主催する観光セミナー「アフターコロナに向けた今後の観光のあり方と観光DMOの役割」が1月25日、米沢市の伝国の杜で行われた。
(写真右=講演する畑めい子氏)
DMOとは、観光地域づくり法人(Destination Management Organizationの頭文字の略)を意味する言葉で、地域の「稼ぐ力」を引き出し、地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立ち、観光地域づくりの舵取り役として明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略の策定と実施の調整機能を備えた法人。現在、DMOは国の観光振興施策の柱として位置付けられている。
米沢市は第4期観光振興計画の重点事業として(仮称)米沢市版DMOの設立に向けて動き出している。この日のセミナーは、観光関係事業者や団体が一丸となり、オール米沢でDMO設立に協力する体制を構築しようと開催されたもので、約100人が参加した。
主催者を代表して小嶋彌左衛門会長が「オミクロン株の急拡大という大変な時期を過ごしているが明けない夜はない。国の観光施策として、アフターコロナの重点的なものにDMOの推進がある。今、米沢においてもDMOを立ち上げる動きが始まっているが、設立にあたり先進地八幡平を勉強しようと畑めい子氏を招いた。」と挨拶した。
第1部では、株式会社八幡平代表取締役の畑めい子氏が「地域における観光DMOの役割」と題して基調講演を行った。
畑氏は2018年5月、株式会社八幡平DMOを設立し、代表取締役CEOに就任。観光は観光協会、商工会議所、市役所がそれぞれやってきたが、強い観光になるには「一枚岩」になることが重要だとした。そしてDMOはヨーロッパの産業革命が発祥と述べ、その時代背景として都市に若者が吸い上げられるという状況の中で、地方が生き残るために地域を観光で「ブランディング化」することで、観光で物を売り、稼ぐ観光産業を形作るというDMOの動きにつながったとした。現在、日本には213のDMOがあり、うち37法人が重点指示のDMOとなっている。
八幡平DMOは、八幡平市観光にとって必要な施策を提言し、実施を請け負い、市の予算と観光庁へ予算申請を行ってきた。「外国人の個人旅行者を増やしたい」という目標に対して、
①プロモーションが弱い(情報のリーチが狭い)
②二次交通、三次交通が整備されていない
③多言語の看板がない
などの課題を分析、具体的な施策を出してきた。
また外国人が八幡平市に来ても宿泊せず盛岡市に泊まってしまう理由が、ナイトタイムの満足感の低さが原因で、シャトルバス(片道500円、往復1000円)を運行し、お店の情報を英語、中国語、日本語で発信したと述べた。
また八幡平は鉱山の歴史があり、その主軸産業が保養所だったことから、八幡平温泉郷を維持しているが、低単価の学生宿泊が顧客満足度を下げ、負のループとなり、地域の活気が下がることになった。そこで本当に頑張るものとしてスキーリゾートに着目した。畑氏はインバウンドでは、日本人向けに地に足をつけたものでないと、外国人にPRできないと述べ、観光のデジタル化の取り組みをしっかりと行ってきたと述べ、今後5年後に向けては、高単価で競争力のある商品・サービスという「しっかり稼ぐ観光業」を行い、若者が地元に希望を持って定着できる未来を切り開いていきたいと述べた。
畑氏は過去の失敗例も紹介し、「身の丈に合わないの高額のプロモーション」を行ったことをあげ、1000万円の1回限りよりも、10万円の広告を100回打つ方が地域に寄り添うと述べた。
第2部は、株式会社ライフブリッジ代表取締役の櫻井亮太郎氏がファシリテーターとなり、畑氏、ルース・マリー・ジャーマン氏(株式会社ジャーマンインターナショナル)、黒田三佳氏(人材育成アカデミーローズレーン代表 里山ソムリエ)、安部里美氏(大平温泉滝見屋若女将)、植松美穂氏(Daizy caféオーナー)の米沢市内外で活躍する5名の女性がパネラーとなり、パネルディスカッションが行われた。(写真左=パネルディスカッションで、自身の意見を書いた紙を提示するパネラー)
「女性が求めるこれからの観光地とは」、「米沢の魅力で誇るべきもの」などをテーマに話し合いが行われた。