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長井市は2月15日、記者会見を開き、令和4年度一般会計予算案の概要を発表した。予算総額は180億円ちょうどで、前年度比+13億900万円、率で+7.8%となる。
内谷重治市長は、「平成28年から10年計画で長井市公共施設整備計画を実施してきたが、令和2年度は市庁舎、給食共同調理場、令和3年度は3月末に長井病院が完成する。令和4年度は市役所隣接地にグンゼとPPPの手法での総事業費約42億円の公共複合施設(工事)がピークを迎え、令和4年度予算の増加要因の一つとなった」とし、ほかに1億9,900万円の予算を計上するスマートシティ長井実現事業については、「昨年9月に国に採択を頂き、令和4年は5年間の事業の2年目、8項目のスマートシティーを目指し、デジタル技術を使った実証実験を行っていく」と述べた。(写真右=予算の概要を説明する内谷重治市長)
一般会計予算案の歳入では、市税31億682万円(+3.1%)、地方交付税47億8,400万円(+14.7%)、国庫支出金20億8,560円(+16.30%)などを見込む。市債は9億8,480万円で、△2.7%と若干の減少。繰入金はふるさと応援寄附金から17億913万円、財政調整基金より4億2,000万円を繰り入れる。
歳出では、ソフト事業として、①スマートシティ長井実現事業1億9,946万円、②オリンピック・パラリンピックホストタウン事業1,527万円、③地域活性化事業5,073万円、④魅力ある地域づくり推進事業として、地方創生推進事業交付金事業1,963万円、地域づくり支援事業8,049万円、⑤子育て支援医療給付事業1億441万円、⑥二酸化炭素排出抑制対策事業671万円、⑦新規就農推進事業1,205万円、⑧タスパークホテル再生支援事業897万円、⑨英語力向上推進事業(小学校)80万円などを計上した。建設事業では、公共複合施設整備事業に6億7,450万円を計上する。
新年度の財政指標では、経常収支比率が94.8%(令和3年度94.2%)と0.6%悪化し、実質公債費比率は12.2%(令和3年度12.5%)と0.3%改善した。一般会計の市債残高は245億7,081万円(令和3年度224億108万円)となり、21億6,973万円増加する。後年度償還額に対し、全額交付税措置される臨時財政対策債等を除いた残高は、197億4,643万円となる。
内谷市長が重点施策として掲げる「スマートシティ長井実現事業」は、地方創生推進交付金事業で、国の補助率が1/2、残り1/2も市負担の80%を特別交付税措置がカバーする。長井市がこの事業で取り組むのは、①MaaS・スマートストア・スマートシティアプリによる生活基盤の利便性向上、②デジタル地域通貨「ながいコイン」の展開、③子供の見守り・防災・有害鳥獣対策のデジタル化、④ワーケーション・eスポーツをきっかけとした人材の誘致と育成、⑤ドローンの普及、技術者の確保・育成、⑥高齢者対象のデジタル機器操作教室・eスポーツの普及、⑦スマートシティ事業全般にかかるサポートセンターの設置の8項目で、長井市では国のSociety5.0実現に向けて、平成31年度施政方針で取り組みを進めることを打ち出し、令和2年度からNTT東日本からデジタル専門人材を派遣してもらった。(山形県内唯一、東北で3例のみ)令和3年2月〜3月、デジタル地域通貨「ながいコイン」の実証実験、同年6月、内閣府の地方創生推進交付金事業(Society5.0)に『いつまでも便利に安心して暮らせる「スマートシティ長井」実現計画』を申請し、同年8月に採択となった。予算額は、令和3年度から同7年度までで、合計8億2,000万円。
この事業の目的として、「デジタル技術を活用した地域の課題解決」をあげる。例えば、ICTを活用した利便性の高い生活基盤の構築では、市営バス等交通機関におけるキャッシュレス決済の導入、市民課窓口・売店等、市役所内におけるキャッシュレス決済の導入、高齢者・運転免許返納者等の交通弱者を支えるデマンド交通の展開を目指す。市役所内にデジタル専門人材である室長のほか、若手職員15名が総合政策課デジタル推進室で、Society5.0実現に向けた取り組みの検討、施策の推進を図る。
公共複合施設(図書館と子ども遊戯施設:写真=左)の整備事業は、PPP方式(パブリック・プライベート・パートナーシップ:官民が連携して公共サービスの提供を行うスキーム)で行い、東北初。長井市は民間企業より土地を借用して建設するため、スピードアップが図れ、令和5年初めのオープンを目指す。建設場所は長井市役所庁舎隣接地にある。
二酸化炭素排出抑制対策事業では、長井市は令和4年度に「カーボンニュートラル宣言」を行う予定。それに先立って、長井市独自のバイオマス発電と小水力発電を実施するために、令和3年10月にプロジェクトチームを作った。
長井市では、現在、地域おこし協力隊メンバーは5人だが、令和4年は20人増やし計25人とする。隊員の1人は、JAL系列のホテルホークラに勤務していた経験を生かし、昨年8月からタスパークホテル再生支援に関わり、同ホテルの課題を改善し、黒字体質に転換することを目指している。