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白鷹町鮎貝コミセン、「佐藤綾夏書道作品展」を開催

1 現在、山形市に在住する雅号・佐藤綾夏さん(27)が、3月4日から3月14日まで白鷹町鮎貝コミュニティセンターを会場に、「佐藤綾夏書道作品展」を開催している。
 佐藤さんは、令和4年、5年に白鷹町の「紅花娘」となったことが縁で、白鷹町の産業、文化などに親しみ、その地域に住む人々との交流ができた。この貴重な経験の機会を与えてくれた白鷹町に何か恩返しがしたいと考え、書家としての一歩を踏み出したく、書道展を開催することにした。(写真右=紅花娘として活動した佐藤綾夏さん、本人提供)

2 白鷹町鮎貝コミュニティセンターの一室には、半切、全紙、六尺三尺、六尺二尺の大きめの作品11点が展示されている。その多くは、中国・北魏時代に楷書で書かれ、石に彫られた文字を拓本にして本になった「造像記」から選んだ。そこには、「天下が安寧であるように」、「民が皆幸せであるように」などの願文が記されて、心が安らぐ言葉が溢れている。佐藤さんはその言葉と字の素晴らしさに心が癒される。高校時代に習った書の先生は、「隷書体」を得意とする先生だった。部活のある日、造像記の存在を知り「かっこいい!」と思った佐藤さんは、山形県民ふれあい書道展ジュニアの部で牛橛造像記を出品したところ、「さくらんぼテレビ賞」を受賞し、自信がついてよく書くようになったという。佐藤さんにとって、造像記はその後の書道の中心となった。今回の作品展もその「造像記」がベースとなっている。
 
3 白鷹町は、現在、「紅花生産日本一 日本の紅(あか)をつくる町」をキャッチコピーに全国に発信している。佐藤さんは、その白鷹町の伝統や産業を書道作品展の中にきっちりと活かした。それは紙に白鷹町深山地区で作られる「深山和紙」を使用したことや、書の表具には白鷹紬の生地や紅花の赤で染めた生地を用いたことである。
 深山和紙は、地元で採れる楮(こうぞ)の木を根元から伐り、それを蒸して皮を叩いて繊維質を取り出し、冷水で漉き、天日干しにする。その混じり気のない白さと美しい風合いは、書家や版画家に珍重され、障子紙、あるいは白鷹人形の材料に使われてきた。起源は400年前で、米沢藩第9代藩主上杉鷹山が推奨したことで、米沢藩の御用和紙になった。
 深山和紙は、とても硬くて厚みがあるため、書が擦れやすく、墨汁を筆にたっぷりと染み込ませないと書きづらいが、表具を終えた作品を見ると、そこには深山和紙の持つ自然のぬくもりや温かみが感じられ、書家の個性が尚一層浮かび上がってくるようだ。書家に新たな創造力と挑戦の意欲をかき立ててくれるものが「深山和紙」なのだ。
4 白鷹紬の生地や紅花の赤で染めた生地を使用した表具は、鮮やかな色合いを醸し出し、深山和紙の白との見事なコントラストで一際華やいで見える。
 紅花の町、白鷹町にふさわしいテーマである「紅花摘み唄」の歌詞も書の作品にした。また江戸時代から続く、上山市の伝統行事「加勢鳥」に因む書も展示した。かなの2点作品は、かなの持つ柔らかさを十二分にも感じさせるものだ。その他、着物の生地を使用した表具もとても珍しく、見所の一つとも言えそうだ。
 
 現在、事務職として勤務する佐藤さん。書の他にも、チアダンスや花笠を踊っている。着物と切っても切れない花柳界にも関心があり、昨年は酒田市で行われた「酒田花魁道中」、栃木市で開催された「歌麿道中」のイベントにも参加した。
 今後は、自身のこれまでの人生経験や思い出を書を通して表現し、全国に山形の魅力や素晴らしさを伝えていく書家になりたいと夢をふくらませている。